フウリュウウオ

フウリュウウオ：深海に生きる風流な魚

フウリュウウオは、アンコウ目アカグツ科フウリュウウオ属に分類される魚の総称、またはその中の1種 Malthopsis lutea を指す呼び名です。カリブ海周辺の浅い海から、日本近海を含む深海まで、様々な地域に生息していることが知られています。

カリブ海のバットフィッシュ

カリブ海に生息するフウリュウウオは、その独特の姿から「バットフィッシュ（コウモリ魚）」という別名でも呼ばれています。海底を這うように移動する姿は、まるで海底を歩くかのような印象を与えます。

独特な生態：海底を歩く魚

フウリュウウオの体長は20～40cmほど。水深15～200mほどの砂底に生息し、発達した胸ビレと腹ビレを使って海底を歩くようにして移動します。主な餌は甲殻類や多毛類です。

興味深いのは、アンコウ類の多くが持つ発光器「エスカ」がフウリュウウオでは非常に小さく、ほとんど機能していない点です。これは、アンコウ類から進化する過程でエスカが退化していった痕跡と考えられています。しかし、エスカは格納できる構造を依然として保持しています。さらに、フウリュウウオはユニークな威嚇行動も持ちます。危険を感じると、体を後ろ向きにして鰓を目に見立て、相手を威嚇するのです。

深海に暮らす近縁種

フウリュウウオの近縁種も、世界各地の深海に生息しています。これらの種は、フウリュウウオと基本的な形態は似ていますが、生息水深は100～700mと、より深い海域に生息している点が異なります。

フウリュウウオの分類

フウリュウウオは、以下の属に分類されます。それぞれの属に、様々な種が含まれています。

アミメフウリュウウオ属 (Halicmetus)
イガフウリュウウオ属 (Solocisquama)
フウリュウウオ属 (Malthopsis)
ムシフウリュウウオ属 (Halieutopsis)

まとめ

フウリュウウオは、その独特の生態と形態から、深海生物研究において重要な種となっています。海底を歩く姿、退化したエスカ、そしてユニークな威嚇行動は、進化の過程を垣間見れる興味深い特徴です。今後の研究により、フウリュウウオの生態や進化史に関する更なる知見が得られることが期待されます。

参考文献

早川いくを『またまたへんないきもの』(2006年2月 初版第4刷、バジリコ) ISBN 4901784773

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