フェデリコ・デ・マドラーソ

フェデリコ・デ・マドラーソ・イ・クンツ

フェデリコ・デ・マドラーソ・イ・クンツ（1815年2月9日 - 1894年6月10日）は、19世紀に活躍したスペインの肖像画家であり、マドラーソ家の一員として知られています。彼の家族は特に芸術の分野で名を馳せており、彼自身もその伝統を受け継ぎ、数多くの肖像画を手掛けました。

家族背景

マドラーソは新古典主義の画家であるホセ・デ・マドラーソとポーランド出身の画家タデウシュ・クンツェの間に生まれました。兄弟には画家のルイス・デ・マドラーソ、美術評論家のペドロ・デ・マドラーソ、建築家のフアン・デ・マドラーソがいます。また、彼自身の子供たちの中にも画家となったリカルドとライムンド、そして女流作家であるセシリアがいるなど、マドラーソ家はスペインの美術界で重要な一族とされています。

教育と早期のキャリア

フェデリコはまず父から絵画を学び、その後、マドリードのアルベルト・リスタの学校および王立サン・フェルナンド美術アカデミーで学びました。彼の最初の作品『キリストの復活』は、なんとクリスティーナ女王によって当時14歳の彼に購入されました。19歳のとき、ドミニク・アングルに教わるためにパリへ渡り、多くの影響を受けました。アングルのもとでフランス的な手法を習得し、フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルターの指導の下で更なる技術を磨いていきました。

海外での活動

パリでの滞在中、マドラーソは多くの新たなアイデアを取り入れ、1837年にはヴェルサイユ宮殿のために歴史画を制作しました。ローマに2年滞在した後、スペインに帰国し、カタルーニャの著名な画家たちとともに作品を制作しました。1842年からは、スペイン女王イザベル2世の宮廷画家として活動を続け、レジオン・ドヌール勲章を受章するなど、彼の名声は高まっていきました。

プラド美術館のディレクター

フェデリコは父がプラド美術館のディレクターを辞任した際、同じ職に任命されました。彼はその後も多少の変動があったものの、プラド美術館と王立サン・フェルナンド美術アカデミーを二度にわたり監督しました。また、いくつかの雑誌にも寄稿し、絵画やアートに関する理論的な考察を発表するなど、芸術活動を深化させました。

作品とスタイル

マドラーソは特に貴族の肖像画で名を馳せました。有名な作品には、女流作家や詩人の肖像が含まれており、彼の画風はその時代の文化を色濃く反映しています。画家としてのピークには、ほぼ専ら肖像画に専念し、弟子たちも育てていきました。彼の作品の中には著名な人物の肖像があり、その中でもビルチェス伯爵夫人の肖像画が特に有名です。

最後の年

晩年には、芸術活動とともに、教育や編集の分野にも関わり、影響力を持ち続けました。彼の作品は今日でもスペインの重要な美術館で展示されており、歴史的な文脈や文化的な背景の中で彼の名声が評価されています。彼の家系の影響は、現代の芸術家たちにも引き継がれていることから、マドラーソ一族はスペインの美術界における重要な存在とされています。

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