フェルディナント・アルビン・パックス

フェルディナント・アルビン・パックス（Ferdinand Albin Pax、1858年7月26日 - 1942年3月1日）は、ドイツの植物学者であり、植物分類学において重要な業績を残しました。

生涯

パックスは、現在のチェコ共和国、ドヴール・クラーロヴェー・ナト・ラベム（当時はドイツ語でケーニギンホーフ・アン・デア・エルベと呼ばれていました）で生まれました。彼は、ブレスラウ大学でハインリヒ・ゲッパートに師事し、植物学の基礎を築きました。その後、1883年にキール大学でアドルフ・エングラーの助手として研究に従事し、同年にはブレスラウ大学へと戻りました。

1889年からはベルリン植物園の学芸員を務め、植物学の研究をさらに深めました。1893年にはブレスラウ大学の植物学教授に就任し、ヴロツワフ植物園の園長としても活躍しました。教育者としても多くの学生を育て、植物学の発展に貢献しました。

パックスは、エングラーとプラントルが編纂した植物分類学の重要な書籍『Die natürlichen Pflanzenfamilien』の第1版と第2版の執筆にも参加しました。この書籍は、当時の植物分類学において非常に重要な役割を果たし、パックスの植物分類学における知識と見識が、この書籍を通じて広く知られることになりました。

また、パックスはマメモドキ科の植物であるPaxia Gilgに献名されています。このことは、彼の植物学における功績が、後世にまで評価されていることを示しています。なお、彼の息子であるフェルディナント・アルベルト・パックスも動物学者として活躍しました。

著書（一部）

パックスは、生涯にわたり多くの植物学に関する著作を発表しました。以下にその一部を記載します。

『Monographische Übersicht über die Arten der Gattung Primula』（1888年）：サクラソウ属に関する詳細なモノグラフです。
『Allgemeine Morphologie der Pflanzen mit besonderer Berücksichtigung der Blüthenmorphologie』（1890年）：植物の形態学、特に花の形態学について解説した書籍です。
『Grundzüge der Pflanzenverbreitung in den Karpathen I. Band』（1898年）および『Grundzüge der Pflanzenverbreitung in den Karpathen II. Band』（1908年）：カルパティア山脈の植物分布に関する研究をまとめたものです。
『Schlesiens Pflanzenwelt』（1915年）：シレジア地方の植物相を解説した書籍です。
『Pflanzengeographie Rumäniens』（1919年）：ルーマニアの植物地理に関する研究をまとめたものです。

これらの著作は、植物学の研究者にとって重要な資料であり、パックスの植物学における業績を物語っています。

参考文献

パックスに関する情報は、以下の参考文献に詳しく記載されています。

Brigitte Hoppe: Pax, Ferdinand Albin. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 20, Duncker & Humblot, Berlin 2001, ISBN 3-428-00201-6, S. 144 (Digitalisat).
* Robert Zander, Fritz Encke, Günther Buchheim, Siegmund Seybold (Hrsg.): Handwörterbuch der Pflanzennamen. 13. Auflage. Ulmer Verlag, Stuttgart 1984, ISBN 3-8001-5042-5.

これらの参考文献は、パックスの生涯や業績についてより深く理解するための手助けとなるでしょう。

フェルディナント・アルビン・パックスは、植物分類学の発展に大きく貢献しただけでなく、教育者としても多くの人材を育てました。彼の残した業績は、現代の植物学研究においても重要な基盤となっています。

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