フエルテベントゥラ島襲撃

フエルテベントゥラ島襲撃事件：1740年の攻防

1740年、カナリア諸島のフエルテベントゥラ島は、ジェンキンスの耳の戦争の余波を受け、イギリス私掠船による二度の襲撃に見舞われました。この事件は、大国間の争いが地方の島々にまで及んだ歴史的な出来事として知られています。

背景：ジェンキンスの耳の戦争

ジェンキンスの耳の戦争は、1739年から1748年まで続いたイギリスとスペインの間の紛争です。イギリスの船長ロバート・ジェンキンスの耳が切り落とされた事件が発端となり、両国間の緊張が高まりました。この戦争中、私掠船による襲撃が頻発し、フエルテベントゥラ島もその標的となりました。

第一次襲撃：民兵隊の奮闘

最初の襲撃では、50人のイギリス私掠船がグラン・タラハル湾に上陸し、内陸のトゥイネヘ村へと進軍しました。村を略奪する私掠船に対し、島の民兵隊はただちに集結し、防衛体制を整えました。

フエルテベントゥラ島は過去にも私掠船の襲撃を受けており、カレタ・デ・フステルやトストンの塔など、要塞化が進められていました。メルチョル・カブレラ・ベテンコートの指揮の下、民兵隊は勇猛果敢に私掠船に立ち向かいました。

民兵隊は、棍棒や石といった原始的な武器を手に、ラクダの群れを盾にして私掠船のマスケット銃から身を守りながら戦いました。その結果、私掠船50人のうち30人を殺害し、20人を捕虜にするという大勝利を収めました。捕虜はその後、テネリフェ島へと連行されました。

第二次襲撃：報復と全滅

最初の襲撃からわずか1か月から6週間後、再びイギリス私掠船がフエルテベントゥラ島を襲撃しました。二度目の襲撃では、より多くの私掠船が上陸したと考えられ、その数は200人から300人に達したとも言われています。

私掠船は再びグラン・タラハルから上陸し、トゥイネヘ村を略奪しようとしました。しかし、一度目の襲撃で手痛い損害を受けた民兵隊は、今回は慈悲をかけることなく、私掠船を徹底的に打ち破りました。ジョン・マーサーによれば、この戦いで私掠船は全滅し、50人が殺害されたとされています。

襲撃事件の意義

フエルテベントゥラ島襲撃事件は、ジェンキンスの耳の戦争という国際的な紛争が、地方の島々に与えた影響を示す好例です。また、武器や装備で劣る民兵隊が、知恵と勇気と結束力で侵略者を打ち破ったという点で、地域史における重要な出来事として記憶されています。

この事件は、フエルテベントゥラ島の住民にとって、自分たちの土地を守り抜くという強い意志を示す象徴となり、現在でも語り継がれています。

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