フォカロル

フォカロル（Focalor）は、悪魔学において知られる悪魔の一体であり、フォルカロル（Forcalor）あるいはフルカロル（Furcalor）とも呼ばれています。『ゴエティア』によれば、彼は序列41番の地獄の大公爵であり、30の悪魔の軍団を率いるとされています。

フォカロルは、召喚されるとグリフォンの翼を持った男の姿で現れると伝えられています。彼の力は風と海を支配することにあり、人々を溺死させたり、軍艦を転覆させたりすることが可能です。しかし、興味深いことに、フォカロルは召喚者によって明確な命令が下されない限り、自ら人を傷つけるようなことはしないと言われています。この点は、他の多くの悪魔とは異なる特徴と言えるでしょう。

また、フォカロルは1000年後に第七座天使に復位することを望んでいるという伝承があります。これは、彼がかつて天使であったことを示唆しているのかもしれませんが、詳細は不明です。悪魔が天使への復帰を望むという考えは、悪魔学における興味深いテーマの一つです。

『大奥義書』に登場する悪魔、ルキフゲ・ロフォカレ（Lucifuge Rofocale）の名前の後半部分が、フォカロルとアナグラムの関係にあるという指摘も存在します。この関連性が何を意味するのかは定かではありませんが、悪魔学における名前の重要性や、悪魔同士の関係性を示唆する興味深い事例と言えるでしょう。

フォカロルに関する情報は、主に以下の文献に記載されています。

グスタフ・ディヴィッドスン著、吉永進一訳『天使事典』創元社、2004年
コラン・ド・プランシー著、床鍋剛彦訳『地獄の辞典』講談社、1990年
S.L. MacGregor Mathers and Aleister Crowley, The Lesser Key of Solomon(1904)
Arthur Edward Waite, The Book of Ceremonial Magic(1913)
* Johann Weyer, Pseudomonarchia Daemonum

これらの文献は、フォカロルの性質や能力、召喚方法などについてより深く理解するための貴重な情報源となります。特に『ゴエティア』は、フォカロルを含む72柱の悪魔について詳細な記述があり、悪魔学研究において重要な文献とされています。

フォカロルは、風と海を操る強大な力を持つ一方で、召喚者の命令に従順であるという側面も持ち合わせています。また、かつて天使であった可能性や、天使への復帰を望んでいるという伝承は、彼の複雑な性質を物語っています。悪魔学におけるフォカロルの研究は、悪魔の多様性や、善と悪の境界線について考察する上で重要な意味を持つと言えるでしょう。

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