フォルクスワーゲン・T-Cross

フォルクスワーゲンT-Cross：コンパクトSUVの傑作

フォルクスワーゲンT-Crossは、同社が製造・販売するサブコンパクトクロスオーバーSUVです。2018年に世界3都市で発表され、翌年から販売が開始されました。フォルクスワーゲンのSUVラインアップの中では最もコンパクトなモデルに位置づけられ、その高い実用性と魅力的なデザインから世界中で人気を博しています。

開発経緯：小型SUVプロジェクト「タイグン」からの進化

T-Crossの開発は、かつて計画されていた小型SUVプロジェクト「タイグン」の代替として始まりました。「タイグン」はup!をベースとした全長3.9m以下のSUVで、欧州、ブラジル、インド市場への投入を目指していましたが、社内で「全長が短すぎる」との意見が出され、計画は中止されました。

その後、ポロをベースとした新たなSUVの開発が始まり、それが現在のT-Crossです。「タイグン」という名称は、後にインド市場向け車名として使用されることとなります。量産モデル発表前に、ジュネーヴモーターショーではコンセプトカー「T-Cross Breeze」が公開されましたが、これは4人乗りキャンバストップ・コンバーチブルという、量産モデルとは異なるデザインでした。

デザインと機能性：広々とした空間と高い実用性

T-Crossは、堅牢で設計自由度の高いMQBプラットフォームを採用しています。コンパクトなボディサイズながら、広い室内空間と、クラス最高水準の455ℓ（最大1,281ℓ）という荷室容量を確保。高い実用性を兼ね備えています。

エクステリアは、存在感のあるボンネット、一体型のヘッドライトとワイドなラジエーターグリル、水平に走るキャラクターラインが特徴です。力強いショルダーラインと、リヤエンドに広がるリフレクターバンドが、スポーティな印象を与えます。

インテリアは、高い着座位置による良好な視界が確保され、リアシートは最大14cmのスライド調整と60:40分割機能付き。乗員数や荷物に合わせて柔軟な空間アレンジが可能です。

グローバル展開と日本市場での成功

T-Crossは、中国、スペイン、ブラジルで生産され、世界各国で販売されています。日本市場においても、2019年に導入が発表されると、コンパクトなボディサイズ、ポップでカラフルなエクステリア、充実の安全装備が評価され、若年層や女性を中心に高い人気を獲得しました。2020年から2022年までは、3年連続で輸入SUV登録台数第1位を記録するなど、大きな成功を収めています。

日本市場での展開：グレード、装備、仕様変更の歴史

日本導入当初は、「TSI 1st」と「TSI 1st Plus」という特別仕様車が設定されました。アダプティブクルーズコントロールやプリクラッシュブレーキシステムなどの先進安全装備、そしてスマートフォンワイヤレスチャージングなどの快適装備が標準装備されていました。

その後、グレード体系や装備内容の変更、マイナーチェンジなどを経て、2024年7月にはマイナーチェンジを実施。エクステリアデザインを一新し、LEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」や、全車速運転支援システム「Travel Assist」などを標準装備しました。また、「TSI Active」、「TSI Style」、「TSI R-Line」の3グレード展開となり、より充実したラインアップとなっています。

兄弟車と競合車

T-Crossは、フォルクスワーゲン・ポロ、セアト・アロナ、アウディ・A1、シュコダ・カミックといった兄弟車とプラットフォームを共有しています。これらモデルとは、デザインや装備内容に違いがあり、それぞれの市場ニーズに対応しています。

まとめ：未来を見据えたコンパクトSUV

T-Crossは、コンパクトなボディサイズと高い実用性、そして魅力的なデザインを兼ね備えた、フォルクスワーゲンの戦略的なモデルです。世界中で高い人気を誇り、日本市場においても大きな成功を収めています。今後の動向にも注目が集まります。

もう一度検索