フォントヴロー修道院

フォントヴロー修道院の歴史と特徴

フォントヴロー修道院は、フランスのメーヌ＝エ＝ロワール県、フォントヴロー＝ラベイ近郊に位置する歴史的な修道院です。12世紀初頭、巡回説教師ロベール・ダルブリッセルによって創設され、男女が共同生活を送るという当時としては珍しい形態をとっていました。ロベールはフォントヴロー修道会の創設者でもあり、最初の恒久的な建物は1110年から1119年にかけて建設されました。

男女共同の修道院

この修道院の大きな特徴は、男女の聖職者が別々の場所で生活しながらも、共同で修道生活を送っていた点にあります。修道会は設立当初から海外でも成功を収め、特にイングランドには多くのフォントヴロー派修道院が建てられました。ロベールは、修道会の指導者は女性であるべきだと考え、初代院長にはペトロニーユ・ド・シュミエを任命しました。彼女の後を継いだのは、イングランド王ヘンリー2世の伯母にあたるイザベル・ダンジューでした。

この人事により、フランスのブルボン王家をはじめとする多くの高貴で裕福な尼僧が、この修道院に集まるようになりました。ルイーズ・ド・ブルボンは自らが院長を務めていた期間に、修道院の多くの箇所に自身の紋章を残しています。また、創設初期にはプランタジネット家が、イザベル・ダンジューが院長を務めていた時代、さらにはヘンリー2世の妃アリエノール・ダキテーヌが夫の死後、尼僧としてフォントヴローに滞在した時代を通じて、修道院の有力な後援者でした。

フランス革命とその後

フランス革命の期間中、修道会は解散させられ、修道士たちは修道院から追放されました。最後の院長であったダンタンは貧困の中でパリで亡くなりました。1792年8月17日、革命政府の命令によって全ての修道院は明け渡され、同年10月1日にその手続きが完了しました。その後、修道院は1804年から1963年まで刑務所として使用されましたが、1963年にフランス文化省の管轄下に移されました。

修道院付属教会の修復は、建築家リュシアン・マーニュの指揮のもと、1906年頃に完了しました。

王族の墓所

フォントヴロー修道院は、王族の墓所としても知られています。特に有名なのは、ヘンリー2世と王妃アリエノールの墓、そして彼らの子供であるリチャード1世とシチリア王グリエルモ2世妃ジョーンの墓です。また、ジョーンが2度目の夫であるトゥールーズ伯レーモン6世との間に生んだ息子、トゥールーズ伯レーモン7世の墓、そしてジョン王の妃イザベラ・オブ・アングレームの墓もここにあります。

文学との関わり

作家ジャン・ジュネは、33歳の時にフォントヴローに収監された経験を、半自伝的小説『薔薇の奇蹟』の中で描いています。この出来事は、彼の作品に大きな影響を与えたとされています。

現在

現在は、その歴史的価値から多くの観光客が訪れる場所となっています。修道院の建物は、歴史的な建築物としての価値が高く、フランスの重要な文化遺産として保護されています。

外部リンク

フォントヴロー修道院公式サイト

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