フォート (コロンボ)

コロンボの心臓部：フォート地区

フォート地区は、スリランカの首都コロンボの中心部に位置し、歴史的な要塞跡を起源とするエリアです。その名の通り、かつては要塞として機能していましたが、現在は商業、金融、行政の中心地として発展しています。コロンボ証券取引所やワールド・トレード・センターなどの高層ビルが立ち並び、経済活動の中枢を担っています。

歴史的背景

16世紀初頭、ポルトガルがこの地に上陸し、交易拠点として利用しました。彼らはここに要塞を築きましたが、1656年にはオランダによって征服されました。オランダは、この要塞を貿易と資源を守るための軍事拠点として強化しました。湖と海に囲まれた地形を利用し、強固な要塞へと再構築し、幾度となく包囲を耐え抜きました。1815年、キャンディ条約によりイギリスが島の統治権を獲得すると、コロンボは首都となり、フォート地区は統治の中心となりました。1870年には、都市開発を妨げるとして要塞は取り壊されましたが、「フォート」という名前は今も残っています。

建築物とランドマーク

フォート地区には、様々な時代の建築物が混在しています。大統領官邸は、オランダ時代に総督の住居として建てられ、その後イギリス総督の住居として使用された歴史的な建物です。かつてはクイーンズ・ハウスとして知られていましたが、現在は大統領官邸の一部となっています。大統領事務局は、ネオバロック調の旧国会議事堂に置かれています。

その他にも、財務・計画省が入るゼネラル・トレジャリー・ビルディング、外務省が入るリパブリック・ビルディングなど、重要な政府機関がこの地区に残っています。スリランカ海軍の本部もこの地区に位置しており、スリランカ中央銀行や旧中央郵便局も重要な施設です。セントラル・テレグラフ・オフィス、警察署本部、コロンボ市警察ビル、スリランカ港務局ビルなど、行政機関が密集しています。

商業と金融の中心地

フォート地区には、数多くの銀行や企業の本社が集まっており、コロンボの商業・金融の中心地を形成しています。セイロン銀行、HSBC、インドステイト銀行、スタンダードチャータード銀行などが拠点を構えています。ワールド・トレード・センターは、市内でも最も高いビルであり、コロンボ証券取引所や多くの有力企業が入居しています。

また、グランド・オリエンタル・ホテル、コロンボ・ヒルトン、コロンボ・インターコンチネンタルなどの高級ホテルもこの地区に集まっています。旧コロンボ灯台、コロンボ灯台、オールド・ダッチ・ホスピタル、サムボーディ・チェーティア寺院など、歴史的なランドマークも点在しています。

コロンボ港との接続

フォート地区の北部は、コロンボ港に接しています。スリランカ港務局、スリランカ税関、バンダラナイケ埠頭、クイーンエリザベス埠頭などの港湾施設もこの地区にあります。これらの施設は、スリランカの物流を支える重要な役割を担っています。

現在のフォート地区

フォート地区は、歴史的な建造物と現代的な高層ビルが共存する、活気あふれるエリアです。政府機関、金融機関、商業施設が集まり、多くの人々が行き交います。海岸沿いには緑地帯が広がり、市民の憩いの場となっています。この地区は、スリランカの過去と現在が交差する、コロンボの重要な一部であり続けています。

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