フォード・レンジャー (タミヤ)

タミヤ 1/10 電動RC フォード・レンジャー：1980年代を彩った本格派オフローダー

1981年10月、タミヤ（当時：田宮模型）から発売された1/10スケール電動ラジオコントロールカー、『フォード・レンジャー』。米国フォード社のピックアップトラック「F-150レンジャー・ピックアップ4WD・XLT」をリアルに再現した、本格派オフローダーモデルとして人気を博しました。当時の価格は19,000円と、決して安価ではありませんでしたが、その高い完成度と走破性から多くの愛好家を魅了しました。

メカニズム：バギーチャンプをベースに進化

フォード・レンジャーは、タミヤのヒット作『バギーチャンプ』をベースに開発されました。ボディ、タイヤ、ホイールは専用設計ですが、シャシーを始めとする主要メカニズムはバギーチャンプと共通というコストパフォーマンスの高さが特徴です。

シャシー: 強度と軽量化を両立したFRP製のフラットパン構造を採用。

サスペンション:

フロント: L型コイルスプリングとオイルダンパーを備えたダブルウィッシュボーン式独立懸架。路面追従性と衝撃吸収性を高めています。
リア: トーションバーとオイルダンパーを組み合わせたマクファーソンストラット式独立懸架。バギーチャンプ譲りの信頼性と耐久性を備えています。

駆動系: 後輪駆動（2WD）で、デフギアは装備されていません。これは、オフロード走行において、トラクションを最大限に確保するための設計です。常にデフロック状態であるため、悪路での走破性は抜群でした。

モーター: 強力なマブチ製540モーターを搭載。アルミ製のミッションブロックに後方配置されています。

タイヤホイール: ブロックパターンの中空ラバータイヤと、スポークデザインの3ピース組み立て式ホイールを装着。オフロードでのグリップ力を高め、リアルなルックスも両立しています。

ボディ: 強化樹脂製ボディは、フロントはピアノ線クリップ、リアは板バネによる固定式。実車フォード・レンジャーを忠実に再現した精巧な仕上がりです。

バッテリー: 田宮模型製の6Vまたは7.2Vバッテリー（別売り）を横置きに搭載します。（ラクダバッテリー）

その他: 約1600g（バッテリー、コントロール装置除く）の乾燥重量と、スチール製のシンプルなアンテナも特徴です。

フォード・レンジャーの魅力：リアルさと走破性の融合

フォード・レンジャーの魅力は、何と言っても実車フォード・レンジャーを忠実に再現した精巧なボディと、タミヤの技術が凝縮された信頼性の高いメカニズムの融合にあります。当時としては高価なキットでしたが、その高い完成度と走破性から、多くのラジコン愛好家に支持され、今もなお根強い人気を誇る名車と言えるでしょう。バギーチャンプの基本性能を踏襲しながらも、本格的なオフロード走行に対応できるよう改良が加えられた点が、このモデルの大きな特徴であり、魅力となっています。また、組み立て式のホイールや、リアルなボディデザインも、所有する喜びを高めてくれます。

1980年代のラジコンシーンを彩った一台

1980年代前半のラジコンシーンにおいて、フォード・レンジャーは、本格的なオフロード走行を楽しめる電動RCカーとして重要な位置を占めていました。現在では入手困難な希少なモデルですが、当時のラジコンカーの技術レベルの高さと、完成度の高さを見ることができる貴重な一台と言えるでしょう。その魅力は、単なる玩具の枠を超え、コレクターアイテムとしての価値も高く評価されています。

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