フクバラハップ

フクバラハップ（Hukbalahap）について

フクバラハップは、第二次世界大戦中にフィリピンで設立された抗日組織であり、フィリピン共産党の指導の下に活動しました。この組織の名前は、タガログ語で「抗日人民軍」を意味する「フクボン・バヤン・ラバン・サ・マガ・ハポン」の略称です。日本では、しばしばフク団（Huks）として知られています。

組織の設立と日本軍との戦闘

1942年2月6日、フクバラハップは農民運動を基盤に、ルソン島の山村でルイス・タルクの指導のもとに結成されました。主にパンパンガ、タルラック、ヌエヴァ・エシハの貧農がメンバーとなり、軍隊組織や軍事学校を持ち、日本軍の排除と地主階級の打倒を目指して活動しました。彼らは一般市民からの支援を受けながら、巧妙なゲリラ戦を展開しました。

しかし、日本軍はフクバラハップに対して爆撃などの過激な報復を行い、その撲滅を試みました。それでも、日本軍はその活動を完全には抑え込むことができず、フィリピン占領期間中、フクバラハップは日本軍にとって大きな苦痛の元であり続けました。

米軍との連携とその後の裏切り

太平洋戦争において、最初は劣勢だった米軍は、1944年10月20日のレイテ島上陸を契機に急速な反攻を開始しました。1945年2月にはマニラが奪還され、フィリピンコモンウェルス政府が復活しました。この中で、フクバラハップの抗日ゲリラ組織は決定的な役割を果たしました。米軍とフクバラハップは、対日作戦での連携を深め、戦闘を共にしました。

しかし、アメリカはフクバラハップの共産主義的な性格を懸念し、彼らの武装解除や幹部の逮捕を行うなど、次第に弾圧を強化しました。このような圧力は冷戦期にまで及び、米軍によるフィリピン解放の既成事実を確保するための動きの一環でもありました。

戦後の動向

第二次世界大戦後、冷戦が始まるとアメリカはフィリピン共産党で構成されたフクバラハップに対し更なる弾圧を加えました。戦時中に日本軍に協力的だったフィリピンの有産階級が新しい政府に復帰したことも影響し、反共主義的な政策が推し進められました。この結果、フクバラハップは一時解散を余儀なくされますが、土地改革を求める農民運動の高まりと共に、1947年に再建されました。

再建されたフクバラハップは、民主同盟から選挙に立候補し、当選を果たしましたが、議会における発言権を剥奪されました。これにより、再び蜂起し、その勢いは政府を転覆させる可能性を秘めたものとなります。

1948年には和平交渉が試みられましたが、条件を巡って対立が生じ、交渉は決裂しました。1950年にはフクバラハップはフィリピン人民解放軍に改称され、その勢力はおよそ3万人の正規軍と25万人の後備隊にまで拡大しました。しかし、1951年以降、政府軍の反撃により次第に弱体化し、1954年にはタルクも降伏しました。その結果、フクバラハップは衰退の一途をたどり、1950年代にはほぼ完全に鎮圧されました。

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