フジツー・シーメンス・コンピューターズ

富士通シーメンス・コンピューターズ（Fujitsu Siemens Computers, FSC）は、1999年10月1日に富士通とシーメンスがそれぞれ50%の株式を保有する合弁会社として設立されました。本社はオランダのマールセンに置かれ、ヨーロッパ市場を中心に事業を展開していました。この合弁は、両社の技術力と市場網を組み合わせることで、より競争力のある製品とサービスを提供することを目的としていました。

設立当初、FSCは幅広い製品ラインナップを持っており、主にパーソナルコンピュータ（PC）、サーバー、ノートパソコンなどの情報機器を製造・販売していました。特に、企業向けシステムやソリューションに強みを持っており、多くの企業がFSCの製品を採用していました。製品ブランドとしては「SCALEO」が知られています。

しかし、2000年代後半に入ると、両社の事業戦略に変化が見られるようになります。シーメンスは事業の集中化を図り、情報機器事業からの撤退を検討し始めました。一方、富士通はグローバル市場での事業拡大を目指しており、FSCを完全子会社化することで、より迅速な意思決定と事業運営を可能にしたいと考えていました。このような背景から、2009年4月1日、シーメンスが保有していたFSCの全株式を富士通が取得し、合弁契約を解消することになりました。

この買収により、富士通シーメンス・コンピューターズは富士通テクノロジー・ソリューションズへと改組され、富士通グループの一員として新たなスタートを切りました。これにより、FSCのブランド名は消滅しましたが、その技術とノウハウは富士通の製品開発に引き継がれました。FSCが掲げていた企業スローガン「We make sure」は、品質と信頼性を重視する姿勢を表しており、この理念は富士通テクノロジー・ソリューションズにも受け継がれています。

FSCの歴史は、グローバルな合弁企業が直面する課題と、その後の事業再編の一例を示しています。合弁によって両社の強みを活かすことができましたが、事業環境の変化や戦略の違いによって、最終的には企業の形態を変えることとなりました。しかし、FSCが残した実績は、その後の富士通の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

SCALEOは、FSCが販売していたデスクトップパソコンのブランドであり、一般消費者向けだけでなく、企業向けの製品も展開していました。手頃な価格と高い信頼性で人気を集め、FSCの代表的な製品の一つでした。

FSCの解散後、SCALEOブランドは富士通に引き継がれ、現在でも一部の市場で販売されています。

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