フジテレビ旧本社ビル

フジテレビ本社ビル:河田町の思い出



1959年3月1日、フジテレビの開局とともに誕生した河田町本社ビル。1997年3月9日まで、日本のテレビ界をリードする放送局として、数々の名番組を生み出しました。その歴史と魅力を紐解いていきましょう。

建物の概要と変遷



戦前にホテルが建っていた新宿区河田町の広大な敷地に建設された本社ビルは、東京タワーへのアクセスを考慮した立地が特徴でした。当初は地上3階、地下1階、延べ床面積14,000m²のメインビルでしたが、その後、タワービルやグランドスタジオ棟を増築し、4棟からなる大規模な複合施設へと発展を遂げました。

1962年には、有楽町から本社機能が河田町に移転。1969年には開局10周年を記念して地上13階建てのタワービルが完成し、ビルの象徴的な存在となりました。敷地内には、各棟への案内看板が設置され、フジテレビのオープニング・クロージング映像にもその姿が使用されていました。現在でも、FCGビルの大会議室前には本社ビルの模型が展示され、当時の面影を伝えています。

南側玄関には電波をイメージしたモニュメント、東京女子医大病院側には「凱旋門」と呼ばれる正門が設置され、局ロゴや巨大な番宣ポスターが掲げられていました。これらの装飾は、多くの番組で背景として使用され、視聴者にも親しまれていました。

社員用駐車場や中継車車庫も備え、1992年には増築されました。有名なエピソードとして、『FNS27時間テレビ』でビッグ3(タモリビートたけし明石家さんま)が車庫入れに挑戦したシーンは、多くの人々の記憶に残っています。また、メインビルとグランドスタジオ棟の裏手には、商店街に通じる階段があり、地域と密着した存在でもありました。番組の住所表記は、正式には「新宿区河田町3番1号」でしたが、「牛込郵便局区内」と紹介されることも多かったです。

お台場移転と解体



事業拡大に伴い、河田町本社ビルは手狭になり、1980年代から移転計画が浮上しました。当初は建て替え案もありましたが、敷地の狭さや東京都からの台場土地の貸与を考慮し、最終的に1997年にお台場への移転が決定されました。

FCGビル着工翌年の1994年から、解体作業へ向けたアスベスト調査が開始されました。1997年3月9日深夜に最後のクロージングが放送され、38年間の歴史に幕を閉じました。解体作業は翌15日から開始され、1998年3月31日に完了、跡地にはマンションが建設されました。

河田町時代の番組とスタジオ



移転当日未明に放送された最後の番組は『中央競馬ダイジェスト』、最後の特番は『F1オーストラリアグランプリ』中継でした。現在も放送が続く『ミュージックフェア』『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』『めざましテレビ』などは、河田町時代から続くロングラン番組です。ゴールデンタイムで放送されていた番組では『めちゃ×2イケてるッ!』が最後となり、2018年の終了をもって、旧本社時代からのゴールデンタイム番組は全て終了しました。

河田町本社ビルには12のスタジオが設置されており、それぞれのスタジオで数多くの番組が制作されました。第1から第5スタジオは開局当初から稼働し、その後、増築に伴いスタジオ数が増加していきました。中でも、グランドスタジオ棟にあった第6スタジオは、250坪という広さを誇り、大規模な番組収録に使用されました。各スタジオには、多くの名番組が制作されました。例えば第1スタジオは『小川宏ショー』や『さんまのまんま』、第2スタジオは『ドリフ大爆笑』や『オレたちひょうきん族』、第6スタジオは『夜のヒットスタジオ』や『料理の鉄人』など、数々の番組が制作されました。これらの番組は、日本のテレビ文化に大きな影響を与えました。

タワービルには、柔構造が採用され、屋上にはパラボラアンテナが設置されていました。天気予報の中継なども行われ、視聴者の目にも触れる機会も多かったでしょう。

新宿支局とその後



お台場移転後も、旧本社ビル付近の第一別館に報道取材拠点を設置、新宿支局として運用されました。しかし、2009年に支局が移転し、第一別館は2010年に解体されました。これにより、フジテレビを含むフジサンケイグループは、河田町から51年の歴史に幕を閉じ、完全に撤退しました。

本社が登場する作品



河田町本社ビルは、ドラマや映画などにも登場しています。移転前には『きょうふのキョーちゃん』、移転後には『バージンロード』『とんねるずのみなさんのおかげです』『西村雅彦のさよなら20世紀』『ちびまる子ちゃん(映画)』『志村けんとドリフの大爆笑物語』など、様々な作品でその姿を見ることができます。

まとめ



フジテレビ河田町本社ビルは、日本のテレビ史に大きな足跡を残した象徴的な建物でした。その歴史と魅力は、多くの番組や人々の記憶の中に生き続けています。

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