フセヴォロド・ボブロフ

フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ボブロフ：二つのスポーツを制覇した英雄

フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ボブロフ（1922年12月1日 - 1979年7月1日）は、ソビエト連邦（現ロシア）出身の傑出したスポーツ選手です。彼はサッカーとアイスホッケーの両方で輝かしいキャリアを築き、両方のスポーツでソビエト連邦代表チームのキャプテンを務めた唯一の人物として、その名を歴史に刻んでいます。

生い立ちと初期のキャリア

ボブロフはタンボフ州モルシャンスクで生まれ、後に家族と共にレニングラードへ移住しました。幼少期からサッカーとバンディに親しみ、才能を発揮。バンディ選手としては、1939年から1941年までディナモ・レニングラード、1941年から1943年までオムスクでプレーしました。

サッカー選手としての活躍

第二次世界大戦後、1945年にモスクワへ移り、軍のサッカークラブであるCDKAモスクワ（現在のCSKAモスクワ）に加入。CDKAモスクワ、VVSモスクワ、スパルタク・モスクワといったクラブを渡り歩き、ソ連リーグで3度の優勝を経験しました。116試合に出場し、97ゴールを挙げるという驚異的な記録を達成し、1945年（24ゴール）と1947年（14ゴール）にはリーグ得点王にも輝いています。

1945年には、ディナモ・モスクワのイギリス遠征にゲストプレイヤーとして参加。チェルシー、アーセナル、レンジャーズといった強豪クラブとの対戦で計6ゴールを記録し、イギリスの評論家から絶賛されました。ソ連代表としては、1952年のヘルシンキオリンピックに出場し、3試合で5ゴールを挙げる活躍を見せました。ユーゴスラビア戦ではハットトリックを達成しています。

アイスホッケー選手としての成功

1945年のイギリス遠征で初めてアイスホッケーに出会い、その魅力に惹きつけられたボブロフは、アイスホッケー選手としても目覚ましい成功を収めました。主にレフト・ウイングとしてプレーし、1946年にCDKAモスクワでアイスホッケーを始め、VVSモスクワでの一時的な在籍期間（1950年 - 1953年）を挟んで、再びCDKAに戻り、1957年まで現役を続けました。国内選手権では7度の優勝を経験し、通算130試合で254ゴールという驚異的な記録を打ち立てました。

ソビエト連邦代表としては、1956年のコルチナ・ダンペッツォオリンピックに出場し、金メダルを獲得。夏季と冬季の両方のオリンピックに出場した数少ない選手の一人となりました。また、1954年と1956年の世界選手権でも優勝を果たし、代表では59試合に出場して89ゴールを記録しました。

ボブロフの功績を称え、彼の名前を冠した「ボブロフ・クラブ」が設立されました。これは、現役中に通算250ゴール以上を挙げた選手のみが名を連ねることができる、名誉あるリストです。

引退後とレガシー

VVSモスクワ在籍時には、サッカーとアイスホッケーの両方で選手兼監督を務めました。引退後は、両方のスポーツで数々のチームを指導。アイスホッケーでは、ソ連代表チームの監督として1972年のサミットシリーズで指揮を執り、1974年の世界選手権ではチームを優勝に導きました。

1979年にモスクワで死去。1997年には、国際アイスホッケー連盟 (IIHF) 殿堂の初代受賞者の一人に選ばれました。フセヴォロド・ボブロフは、二つのスポーツで頂点を極めた不世出の才能として、今もなお多くの人々に記憶されています。彼の多大な功績は、スポーツ史における輝かしいレガシーとして、永遠に語り継がれるでしょう。

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