フッ化クロム(III)

フッ化[クロム]について

フッ化[クロム]またはChromium(III) fluorideは、化学式CrF₃を持つ無機化合物です。主に緑色の結晶固体として知られていますが、いくつかの水和物が存在し、これらは特定の条件下で異なる色を呈します。一般的な溶媒には溶けにくいものの、有色水和物である[Cr(H₂O)₆]F₃とその三水和物[Cr(H₂O)₆]F₃・3H₂Oは水に溶解する性質があります。これらの水和物は、三水和物が緑色、六水和物が紫色という特徴があります。また、無水物は約1100℃から1200℃で昇華することが知られています。

構造

フッ化[クロム]の化合物は、[クロム]を含む他の化合物と同様に、八面体形状のCr中心を持っています。無水物の場合、6つの配位部位がフッ化物イオンで占められ、これらは近くのCr中心と架橋する形で結合しています。一方、水和物では、一部または全てのフッ化物が水分子に置換され、異なる構造を形成します。

合成方法

フッ化[クロム]は、酸化[クロム]とフッ化水素酸との反応によって合成されます。具体的には、次のような反応が行われます。

```
Cr₂O₃ + 6 HF + 9 H₂O → 2 [Cr(H₂O)₆]F₃
```

無水物であるCrF₃は、フッ化水素と塩化クロムを反応させることによっても合成され、以下の反応が行われます。

```
CrCl₃ + 3 HF → CrF₃ + 3 HCl
```

さらに、(NH₄)₃CrF₆の熱分解による合成方法も提唱されており、次の反応式で示されます。

```
(NH₄)₃CrF₆ → CrF₃ + 3NH₃ + 3HF
```

これに加えて、混合原子価を持つCr₂F₅という物質も確認されています。

利用

フッ化[クロム]は、様々な用途で使用されています。例えば、繊維の媒染剤や腐食防止剤として用途があるほか、[フッ化水素]]を用いるクロロカーボンのフッ素化を触媒する性質があるため、化学工業において重要な役割を果たしています。このように、フッ化[[クロム]は、その特異な物理的性質や利用可能性から化学および産業分野で広く注目されています。

もう一度検索