フラッギング

フラッギングとは

フラッギング（fragging）は、軍隊の内部において友軍を故意に兵器によって殺害する行為を指します。このような行為は、軍の士気が極端に低下した場合や、上官の指示が理不尽だと感じられるときに見られます。さまざまな形態で発生しており、特に指揮官を狙ったものや、負傷した兵士を非人道的に処理するケースもあります。この名称は、破片手榴弾（フラグメンテーション・グレネード）から由来しています。

上官を狙ったフラッギングの事例

アメリカ陸軍において、特に1970年代のベトナム戦争中には、士気が著しく低下しました。この情勢下で、部隊指揮官を意図的に手榴弾で殺そうとする行為が横行し、報告によれば1969年から1973年の間に900件以上のフラッギングが記録されています。その結果、少なくとも600人がこの行為によって命を落としたとされています。戦後、アメリカは徴兵制度を志願制に変更しましたが、フラッギング自体は減少していくことはなく、イラクに駐留した部隊でも将校が手榴弾や発砲で殺される事件が報告されています。

日本でも、陸上自衛隊においてフラッギングに類似する事件が発生しています。1984年には訓練中の自衛官による小銃乱射事件が発生し、2023年には日野基本射撃場での発砲事件が報告されました。こうした事件は、軍内部の摩擦やストレスを示すものであり、軍の組織構造や文化が影響を与えています。

足手まといの友軍を殺害する事例

最近では、2022年にロシアがウクライナに侵攻した際に、ウクライナ軍のドローンによる映像が公開されました。この映像では、上官が負傷したロシア軍兵士を撃ち殺すように指示し、目的を果たしながら撤退する様子が捉えられていました。この事件は、敵味方を問わず、戦争の混乱が人間性に及ぼす影響を強く示しています。

フラッギングの影響

フラッギングは、軍内部の結束を破壊し、戦闘の効果性を損なうだけでなく、精神的なトラウマを生む可能性もあります。士気が高ければチームワークは向上しますが、フラッギングが頻繁に発生すれば、部隊内の信頼関係は崩れ、逆に戦力が削がれることになります。これにより、軍のパフォーマンスが低下するだけでなく、長期的な影響として、兵士の精神状態にも悪影響を及ぼします。

フラッギングは時として生存本能や自己防衛本能の一環としても理解されることもあります。負傷した兵士の扱いや、上官の指示の妥当性に疑問を持ったとき、兵士たちは自らの判断で行動することがあるのです。このような背景には、戦場のストレスや、仲間を守りたいという強い意識が存在します。

結論

フラッギングは、単に個人の心理的な問題ではなく、軍隊全体の文化や構造が影響を与える複雑な現象です。この行為の理解なくしては、軍内の士気や、戦争がもたらす影響を正確に把握することはできません。将来的には、フラッギングを減らすための教育や対策が求められています。

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