フラワーチャイルド (曲)

ALI PROJECT（当時は蟻プロジェクト名義）が1988年7月25日にPOLYDORからリリースしたインディーズシングル「フラワーチャイルド」は、彼らにとって初のシングルであり、現在まで唯一のアナログ盤として知られています。メジャーデビューのおよそ4年前という時期に発表されたこの作品は、ALI PROJECTの初期の音楽性を知る上で貴重な資料と言えるでしょう。

収録曲は2曲で、1トラック目の「フラワーチャイルド」は、当時タカラから発売されていた同名の人形のCMソングとして使用されました。可愛らしい人形のイメージに合わせた楽曲は、ALI PROJECTの音楽性の中でも異色であり、ファンにとっては特別な存在です。ジャケットには「あり・ぷろじぇくと」とひらがなで表記されており、玩具のCMソングであることを意識した親しみやすい印象を与えています。作詞・作曲の名義もA面はひらがなですが、B面は漢字となっている点も特徴的です。

2トラック目の「マリーゴールド・ガーデン」は、ケイト・グリーナウェイの絵本『Marigold Garden』にインスパイアされた楽曲で、美しいストリングスアレンジが施されたバージョンが、後にアルバム『神々の黄昏』に収録されています。原曲はアルベニスの「タンゴ」であり、ALI PROJECTならではの解釈が加えられたカバーとなっています。本シングルに先駆けてリリースされたアルバム「幻想庭園」にも収録されていましたが、後に「幻想庭園[+1]」として再発された際に「フラワーチャイルド」が追加収録されました。

しかし、「幻想庭園[+1]」は残念ながら廃盤となってしまい、更に後に幻想庭園がALI PROJECT自らが設立したレーベルZAZOU Recordsより復刻されたものの、そちらは[+1]盤ではないため、「フラワーチャイルド」は収録されていません。つまり、一時期「フラワーチャイルド」が収録されたメディアは全て廃盤という状況に陥ってしまいました。現在では、ALI PROJECT20周年を記念したシングルコレクション「快恠奇奇」（かいかいきき）に収録されており、再び聴くことが可能となっています。

初期のALI PROJECTは、編曲が片倉三起也ではなく、「ありぷろじぇくと」と「蟻プロジェクト」名義で担当していました。この点も、現在のALI PROJECTとは異なる点であり、初期の音楽性を特徴づける要素の一つと言えるでしょう。

収録曲

1. フラワーチャイルド
作詞：たからのありか、作曲：かたくらみきや、編曲：ありぷろじぇくと
タカラ「フラワーチャイルド」CMソング。
2. マリーゴールド・ガーデン
作詞：宝野アリカ、作曲：片倉三起也、編曲：蟻プロジェクト
タイトルはケイト・グリーナウェイの『Marigold Garden』を元にしている。

「フラワーチャイルド」は、ALI PROJECTの歴史を語る上で欠かせない作品であり、その音楽性の変遷を知る上でも貴重な一枚です。

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