フランクフルト大公国

フランクフルト大公国は、1810年から1813年の短期間存在した、現在のドイツに位置していた国です。ナポレオンによって成立したこの国は、マインツ大司教領と自由都市フランクフルトが合併したことで誕生しました。

建国の背景

1806年、神聖ローマ帝国が解散したことに伴い、フランクフルト市は帝国自由都市としての地位を失いました。その後、フランクフルト市は、かつてのマインツ大司教であったカール・テオドール・フォン・ダールベルクに与えられ、フランクフルト大公国として新たなスタートを切ることになりました。

1810年、ダールベルクはレーゲンスブルク侯国をバイエルン王国に割譲せざるを得なくなりました。その際、彼は残りの領土であるアシャッフェンブルク、ヴェッツラー、フルダ、ハーナウ、そしてフランクフルトを統合し、新たなフランクフルト大公国を形成しました。

大公国の実態

フランクフルト大公国と称されていましたが、ダールベルク自身はアシャッフェンブルクに留まり、実際の領土の統治はフランスの弁務官によって行われました。また、憲法の規定により、ダールベルクの死後には、ナポレオンの養子であるウジェーヌ・ド・ボアルネが後継者となることが定められていました。

大公国の終焉

しかし、ナポレオンがライプツィヒの戦いで敗北したことを受け、ダールベルクは1813年10月26日に退位し、ウジェーヌに大公の地位を譲りました。しかし、同年12月には、反仏同盟軍の攻撃によって大公国は消滅し、占領されたフランクフルト市は再び自由都市としての地位を取り戻しました。そして、大公国の大部分はバイエルン王国に併合されることとなりました。

フランクフルト大公国は、ナポレオンの勢力下で成立し、わずか数年で消滅した短命な国家でした。しかし、その短い歴史は、当時のヨーロッパの政治情勢を反映するものであり、興味深い研究対象となっています。

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