フランシス・ウィメット

フランシス・ウィメット：アマチュアゴルフの父

フランシス・デサール・ウィメット（1893年5月8日 - 1967年9月2日）は、アメリカのアマチュアゴルファーであり、「アマチュアゴルフの父」として広く知られています。彼のゴルフ界への貢献は計り知れず、特に1913年の全米オープンでの劇的な優勝は、ゴルフをアメリカの主要スポーツへと押し上げる大きな転換点となりました。

生い立ちとゴルフとの出会い

ウィメットは、マサチューセッツ州ブルックラインで、フランス系カナダ人の父とアイルランド系の母の間に生まれました。幼少期を過ごした家は、ザ・カントリークラブの17番ホールの向かいにあり、ゴルフは常に身近な存在でした。当時、ゴルフは富裕層のスポーツというイメージが強く、ウィメット家は決して裕福ではありませんでしたが、彼は11歳からザ・カントリークラブでキャディとして働き始め、ゴルフに魅了されていきます。

兄から譲り受けたクラブとコースで拾ったボールを使って独学で練習を重ね、その才能を開花させていきました。キャディマスターのダン・マクナマラをはじめ、多くのクラブメンバーが彼の才能に気づき、その成長を温かく見守りました。

1913年全米オープン：歴史的勝利

1913年、20歳になったウィメットはマサチューセッツアマチュアで優勝。その後、全米アマチュア選手権に出場した際、USGA会長のロバート・ワトソンから全米オープンへの出場を勧められます。当初は辞退を考えていたウィメットでしたが、雇用主の協力もあり、出場を決意します。

この年の全米オープンは、彼のホームコースであるザ・カントリークラブで開催され、ハリー・バードンとテッド・レイという英国のトッププロも出場していました。ウィメットは、当時10歳のエディ・ロワリーをキャディに起用し、大会に臨みます。72ホールを終え、ウィメット、バードン、レイの3人が並び、翌日のプレーオフに進出。雨の中行われたプレーオフで、ウィメットは1アンダーでラウンドし、バードンに5打差、レイに6打差をつけて見事優勝を果たしました。この勝利は、当時世界最強とされていた英国人選手を破ったことで、アメリカ中に大きな衝撃を与えました。

ゴルフ界への貢献とアマチュアリズム

ウィメットの全米オープン優勝は、アメリカにおけるゴルフの普及に大きく貢献しました。それまで、ゴルフは英国人に独占され、富裕層のスポーツというイメージが強かったのですが、彼の勝利をきっかけに、一般の人々もゴルフに興味を持つようになり、ゴルフ人口は急増しました。また、公営ゴルフ場も増え、ゴルフがより身近なスポーツとなりました。

彼は決してプロゴルファーには転向せず、アマチュアリズムを貫きました。USGAからアマチュア資格を剥奪されるという苦難も経験しましたが、その後資格は回復され、ゴルフ界への貢献を続けました。全米アマチュア選手権での2度の優勝、ウォーカーカップでの活躍など、数々の功績を残し、1951年には英国人以外で初めてR&Aのキャプテンに選出されるという栄誉にも輝いています。

後世への影響

ウィメットは、ゴルフ技術の面でも貢献しました。オーバーラッピンググリップを普及させたことや、後に偉大なプレーヤーとなるジーン・サラゼンを指導したことなどが挙げられます。また、彼の名を冠したフランシス・ウィメット奨学基金は、マサチューセッツ州のキャディの若者たちに大学奨学金を提供し、多くの人材育成に貢献しています。

フランシス・ウィメットは、その卓越したプレーとアマチュアリズムへの信念によって、ゴルフ界に多大な影響を与えた人物です。彼の功績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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