フランチェスコ1世 (両シチリア王)

フランチェスコ1世：激動の時代を生きた両シチリア王

フランチェスコ1世（1777年8月14日 - 1830年11月8日）は、両シチリア王国の国王として、その治世は複雑な政治情勢と国内の動乱に彩られました。父はフェルディナンド1世、母はマリア・カロリーナであり、彼は神聖ローマ皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの孫にあたります。

生涯

1806年、ナポレオンの侵攻によりブルボン家がナポリからシチリアへと逃れる中、フランチェスコは重要な役割を担うことになります。イギリス外交官ウィリアム・ベンティンク卿がフェルディナンド1世から全権を委任され、憲法を制定すると、フランチェスコは1812年に摂政として国政を担いました。

ナポレオンの没落後、フェルディナンド1世がナポリに帰還すると、シチリアは自治を求めましたが、フェルディナンドはこれを弾圧しました。1816年には二つの王国が統合され、両シチリア王国が成立。フランチェスコはカラブリア公に叙爵されました。当初、フランチェスコは自由主義者として振る舞い、1820年の革命勃発時には新憲法に好意を示し、再び摂政政治を受け入れました。しかし、その内面には保守的な思想が根強く存在していました。

1825年に父王の死を受けて即位すると、フランチェスコは保守主義へと明確に転換します。彼はごく少数の側近や貴族、高官たちに政治を任せ、自身は暗殺を恐れ、軍の警護を受けながら愛妾たちと過ごす日々を送りました。彼の治世中、1828年にはチレントで暴動が発生しましたが、それ以外は比較的平穏な期間でした。

家族

フランチェスコ1世は二度の結婚を経験しています。最初の妻は神聖ローマ皇帝レオポルト2世の娘であるマリア・クレメンティーネで、1796年に結婚しました。彼女との間には以下の二子が生まれました。

カロリーナ・フェルナンダ・ルイーザ（1798年 - 1870年）：最初はベリー公シャルルと結婚しましたが、死別後にデッラ・グラツィア公エットーレと再婚しました。
フェルディナント（1800年 - 1801年）：夭逝。

その後、フランチェスコ1世はスペイン王カルロス4世の娘であるマリア・イサベルと再婚し、12人の子供をもうけました。

ルイーザ・カルロッタ（1804年 - 1844年）：スペイン王子フランシスコ・デ・パウラと結婚。後のスペイン王配フランシスコ・デ・アシス・デ・ボルボンの母。
マリーア・クリスティーナ（1806年 - 1878年）：スペイン王フェルナンド7世の4番目の王妃。後のスペイン女王イサベル2世の母。
フェルディナンド2世（1810年 - 1859年）：父の後を継いで両シチリア王となりました。
カルロ・フェルディナンド（1811年 - 1862年）：カプア公。
レオポルド（1813年 - 1860年）：シラクサ伯。
マリーア・アントニア（1814年 - 1898年）：トスカーナ大公レオポルド2世妃。
アントニオ（1816年 - 1843年）：レッチェ伯。
マリーア・アマーリア（1818年 - 1857年）：ポルトガル王子・スペイン王子セバスティアン・ガブリエル妃。
マリーア・カロリーナ（1820年 - 1861年）：スペイン王位僭称者、モンテモリン伯カルロス妃。
テレーザ・クリスティーナ（1822年 - 1889年）：ブラジル皇帝ペドロ2世皇后。
ルイジ（1824年 - 1897年）：アクイラ伯。
フランチェスコ（1827年 - 1892年）：トラパーニ伯。

フランチェスコ1世の生涯は、ナポレオン戦争後のヨーロッパ政治の変動期における、一国の君主としての苦悩と、複雑な家庭環境が織りなす人間模様を映し出しています。彼の後を継いだフェルディナンド2世の時代には、更なる政治的変革と社会の動揺が待ち受けていました。

もう一度検索