フランツ・ヨーゼフ2世

フランツ・ヨーゼフ2世：リヒテンシュタイン侯国の守護者

フランツ・ヨーゼフ2世（1906年8月16日 - 1989年11月13日）は、リヒテンシュタイン侯として、1938年7月25日から1989年11月13日まで在位しました。彼はアロイス2世の曾孫にあたり、大伯父であるオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世から名付けられたことでも知られています。

第二次世界大戦とリヒテンシュタインの中立

1938年、フランツ1世の崩御を受けて即位したフランツ・ヨーゼフ2世は、当時のヨーロッパが直面していたナチズムの脅威に対し、毅然とした態度で臨みました。ナチス・ドイツ政権の台頭に伴い、リヒテンシュタイン国内でもナチズム勢力が増大しましたが、彼は君主大権を行使し、総選挙を無期限延期するという決断を下します。この英断により、リヒテンシュタインはナチズム化の危機を回避し、第二次世界大戦において中立を維持することができました。

この中立政策は、小国リヒテンシュタインが戦火を免れ、独自の文化と社会を守り抜く上で、極めて重要な役割を果たしました。フランツ・ヨーゼフ2世のリーダーシップは、国民の信頼を集め、国家の安定に大きく貢献したと言えるでしょう。

首都ファドゥーツへの居城移転

1938年、フランツ・ヨーゼフ2世は侯領の首都であるファドゥーツに居を移しました。これにより、リヒテンシュタイン侯は代々ファドゥーツに住まうこととなり、国家の中心としてのファドゥーツの重要性が高まりました。この居城移転は、単なる場所の移動ではなく、国家元首としてのフランツ・ヨーゼフ2世が国民との距離を縮め、一体感を醸成する上で重要な意味を持っていました。

家族

フランツ・ヨーゼフ2世は、ゲオルギーナ・フォン・ヴィルツェクとの間に5人の子女をもうけました。

ハンス・アダム・フェルディナント・アロイス・ヨーゼフ・マリア・マルコ・ダヴィアノ・ピウス（1945年 - ） - 現在のリヒテンシュタイン侯
フィリップ・エラスムス・アロイス・フェルディナント・マリア・ゼーバルドゥス（1946年 - ）
ニコラウス・フェルディナント・マリア・ヨーゼフ・ラファエル（1947年 - ）
ノルベルタ（ノーラ）・エリーザベト・マリア・アスンタ・ヨゼフィーネ・ゲオルギーネ（1950年 - ）
* フランツ・ヨーゼフ・ヴェンツェスラウス（ヴェンツェル）・ゲオルク・マリア（1962年 - 1991年）

フランツ・ヨーゼフ2世は、激動の時代において、リヒテンシュタインの独立と平和を守り抜いた名君として、その名は歴史に刻まれています。

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