フランツ2世 (神聖ローマ皇帝)

フランツ2世の生涯

フランツ2世（Franz II）は、1768年2月12日にトスカーナ大公国のフィレンツェで生まれました。彼は後の神聖ローマ皇帝レオポルト2世の長男であり、母はスペイン王女のマリア・ルドヴィカです。フランツは、伯父のヨーゼフ2世が後を継ぐ子供を持たなかったことから、未来の帝位継承者として育成されました。彼は成長した後、ウィーンに移り教育を受けました。

1790年に伯父のヨーゼフ2世が亡くなり、その後父帝も1792年に崩御したため、フランツは神聖ローマ皇帝として即位しました。しかし、彼の即位時にはすでにフランス革命が進行しており、1792年4月にはフランス政府がオーストリアに宣戦布告し、これによりフランス革命戦争が始まります。その後、1793年にフランス国王ルイ16世が処刑され、第一次対仏大同盟が結成されました。

フランツはその後、ナポレオン戦争に巻き込まれていきます。1805年のアウステルリッツの戦いでは大きな敗北を喫し、これを契機に自ら神聖ローマ皇帝の称号を放棄します。ナポレオンにより形骸化された神聖ローマ皇帝としての地位を解消することで、フランツは新たに「オーストリア皇帝」という称号を獲得し、オーストリア帝国を再編成します。こうして、彼は帝国の実権を握ることとなります。

フランツの支配下にある領域は、オーストリアやハンガリー王国を中心に広がり、彼は「オーストリア皇帝フランツ1世」として君臨しました。ナポレオン戦争の後、ウィーン会議においてもクレメンス・フォン・メッテルニヒを起用し、失地を回復させることに成功しました。

皇帝としての在位期間は約40年に及び、晩年には「善き皇帝フランツ」として国民から慕われる存在となります。フランツは国家運営の多くをメッテルニヒら臣下に委任する一方で、自らは質素な生活を好み、民衆との関係を大切にしました。彼は4度結婚し、合計13人の子供をもうけましたが、長女は幼少で夭逝しました。

家族

フランツ2世は、以下の妃と結婚しました。最初の妃エリーザベト・ヴィルヘルミーネ（フリードリヒ2世の三女）との間には唯一の子供である長女ルドヴィカ（1790年 - 1791年）、その後の皇后マリア・テレジア（両シチリア国王フェルディナンド1世の長女）との間には、ナポレオン1世の皇后となるマリア・ルドヴィカ（1791年 - 1847年）やオーストリア皇帝フェルディナント1世、数人の娘を持ちました。

また、彼の最初の妃と皇后はそれぞれ関連する王家との繋がりが深く、これにより彼の皇統は広がりを見せることとなります。フランツの家族は、ハプスブルク家の血を引く重要な存在として、今後の欧州史においても重要な役割を果たすことになります。

フランツ2世は1835年3月2日に死去し、彼の存命中に築いたオーストリア帝国は、その後の欧州における影響力を継承していくこととなります。

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