フリッツ・フィッシャー

フリッツ・エルンスト・フィッシャー：ナチス人体実験に関与した医師

フリッツ・エルンスト・フィッシャー（1912年10月5日 - 2003年）は、ナチス・ドイツ時代に親衛隊（SS）の医師として活動し、ラーフェンスブリュック強制収容所で行われた非人道的な人体実験に関与した人物です。最終階級は親衛隊少佐でした。

生い立ちとナチス入党

フィッシャーはベルリンで生まれ、ボン、ベルリン、ライプツィヒの大学で医学を学びました。1938年にハンブルク大学を卒業後、医師免許を取得。1934年に親衛隊（SS）に入隊し、1937年6月には国民社会主義ドイツ労働者党（ナチス党）に入党しました。彼は急速にナチスの組織内での地位を高めていきました。

ホーヘンリュッヘン病院とラーフェンスブリュック強制収容所

フィッシャーは、武装親衛隊のホーヘンリュッヘン病院に親衛隊中尉の医師として勤務しました。この病院の主任医師は、ハインリヒ・ヒムラーの側近であったカール・ゲプハルトであり、彼との出会いがフィッシャーの運命を大きく左右します。1940年には、ライプシュタンダーテ・SS・アドルフ・ヒトラーに軍医として従軍しましたが、負傷のためすぐにホーヘンリュッヘンに戻されました。

その後、フィッシャーはラーフェンスブリュック強制収容所に配属され、カール・ゲプハルトの下で人体実験の助手として働きました。この収容所では、捕虜に対して様々な医学実験が行われ、多くの犠牲者が出ました。フィッシャーは、これらの非人道的な行為に深く関与したのです。

医者裁判とその後

第二次世界大戦後、フィッシャーはアメリカ軍によって逮捕され、ニュルンベルク継続裁判の一つである医者裁判にかけられました。彼は、ラーフェンスブリュック強制収容所における人体実験への関与を問われ、有罪判決を受けました。当初は終身刑を宣告されましたが、後に15年の懲役に減刑され、1954年に釈放されました。

釈放後、フィッシャーは医師免許を返上し、インゲルハイムの化学薬品メーカー、ベーリンガー社に勤務しました。彼は、過去の罪を償うことなく、平穏な生活を送ったと言われています。インゲルハイムで死去。

フリッツ・エルンスト・フィッシャーは、ナチス・ドイツの狂気の中で、医学の知識を悪用し、非人道的な行為に手を染めた人物でした。彼の行為は、決して許されるものではありません。

フリッツ・フィッシャーの宣誓供述（英語）

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