フリーダム・コンボイ

フリーダム・コンボイとは

フリーダム・コンボイ（Freedom Convoy）は、2022年2月、カナダにおいて新型コロナウイルスのワクチン接種義務化と、それに伴う非接種者への制限に反対する抗議活動が繰り広げられた一連の運動を指します。この運動は、1月22日から始まったもので、数百台の車両が集まってオタワの国会議事堂前に駐車し、数千人の参加者が歩いて抗議しました。中には国境を封鎖する行動に出た者もありました。

政府はこの運動の影響で経済がダメージを受けることを恐れ、2月11日にはオンタリオ州のダグ・フォード首相が非常事態を宣言。これを受けて、ジャスティン・トルドー首相は同日、米国のジョー・バイデン大統領と協議し、国境での封鎖に関する対応を議論しました。

背景

フリーダム・コンボイの背景には、1月15日に施行されたワクチン接種義務の強化があります。この義務は、カナダに入国するトラック運転手にも適用され、ワクチン未接種のアメリカ越境トラック運転手は入国できなくなるという規制が導入されました。このため、カナダのトラック運転手も、ワクチン未接種の場合は陰性証明と検疫が求められ、生活や仕事に大きな影響が及びました。実際、2021年11月下旬、オミクロン変異株の影響で感染者が急増している状況の中、入院患者においても未接種者が大きな割合を占めていたことから、政府は感染拡大を抑制するための方策を講じざるを得なくなったのです。

ワクチン接種義務化の発表

2021年10月21日、カナダ政府は、国内および海外旅行に必要なワクチンパスポートの発行について説明しました。すべての州と準州が、接種証明書をQRコード付きで提供することを計画しました。また、連邦政府が規制する業種の従業員には、ワクチン接種の証明が義務付けられることになり、証明書を提示できない場合は無給休暇にされるリスクがありました。このような状況が、民間での抗議運動を引き起こす原因となりました。

抗議活動の展開

抗議活動は波紋を呼び、2月10日にはデモのリーダーたちが「オレンジシャツデー」と宣言し、教育機関での行動制限の解除を求めて学生によるウォークアウトを呼びかけました。これに対して、教員たちは抗議に非難の声を上げました。デモの15日目、オタワに駐車されたトラックが多数あり、抗議者たちが国境の橋も占拠していました。オタワ市長が非常事態を宣言したものの、状況は悪化を続けました。

法執行機関の対応

オタワ警察は、このデモに対する対応が不十分とされ、署長が辞任する事態となるほどの批判を浴びました。デモによって引き起こされた交通渋滞や混乱は深刻で、警察は増員せざるを得なくなり、法的措置を含めた対策が講じられました。2月11日、警察がデモ参加者に対処した結果、トラックの撤去が行われ、抗議行動は段階的に収束していくことになります。

フリーダム・コンボイは、ワクチン義務化に反対する個人の権利や自由への認識を強め、カナダ国内外で注目を集めた運動となりました。今後の社会にどのような影響を及ぼすのか、引き続き見守る必要があります。

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