フリードリヒ・カウルバッハ

テオドール・フリードリヒ・ヴィルヘルム・クリスティアン・カウルバッハ

テオドール・フリードリヒ・ヴィルヘルム・クリスティアン・カウルバッハ（Theodor Friedrich Wilhelm Christian Kaulbach, 1822年7月8日 - 1903年9月17日）は、19世紀のドイツを代表する画家の一人です。彼は歴史画、肖像画を中心に活躍し、特にその肖像画の質の高さで知られています。

生い立ちと修業時代

カウルバッハは、ドイツのヘッセン州バート・アーロルゼンで家具職人の息子として生まれました。カウルバッハ家は芸術家を輩出した家系であり、彼のいとこであるヴィルヘルム・フォン・カウルバッハも著名な画家でした。テオドールは1844年にヴェネツィアに移り、いとこのヴィルヘルムのもとで絵画の修行を始めます。1848年頃には独立し、自身の作品を手がけるようになりました。ミュンヘンの美術学校から教授職の招聘を受けますが、これを辞退しています。

パリでの活動とバイエルン王室からの依頼

1850年、カウルバッハはパリに移住し、歴史画や注文による肖像画制作に励みます。同年にバイエルン王マクシミリアン2世から、マキシミリアン議事堂（Maximilianeum）の壁画制作を依頼され、この大作は1861年に完成しました。この壁画は彼の代表作の一つとして数えられています。

ハノーファー王室との関わり

1856年、カウルバッハはハノーファー王国国王ゲオルク5世の肖像画を描いたことを機に、ハノーファー王国の宮廷画家に任命されました。さらに、ハノーファー大学の教授にも就任し、国王から工房と住居を与えられました。この住居は、多くの音楽家たちが集うサロンのような場所となり、ヨハネス・ブラームス、クララ・シューマン、フランツ・リスト、ヨーゼフ・ヨアヒムなど、当時の著名な音楽家たちが頻繁に訪れました。

肖像画家としての名声

カウルバッハは、オーストリア皇后エリーザベトをはじめとする多くの肖像画を手がけ、その高い評価は肖像画家としての名声を確立しました。彼の描く肖像画は、単に被写体の外見を正確に再現するだけでなく、その内面や個性を捉えていると評されています。また、カウルバッハの息子であるフリードリヒ・アウグスト・フォン・カウルバッハも画家として活躍し、芸術家の血筋は次の世代へと受け継がれました。

カウルバッハの作品

カウルバッハの作品は、その緻密な描写と、人物の表情や仕草から感情を読み取ることができる点が特徴的です。特に肖像画においては、依頼主の社会的地位や内面的な特徴を巧みに表現し、その人物の本質を捉えることに成功しています。歴史画では、過去の出来事を生き生きと再現し、観る者をその場に引き込むような迫力があります。

参考資料

Isidore Kaulbach: Friedrich Kaulbach. Erinnerungen an mein Vaterhaus. Mittler, Berlin 1931.
Evelyn Lehmann/Elke Riemer: Die Kaulbachs. Eine Künstlerfamilie aus Arolsen. Arolsen: Waldeckischer Geschichtsverein 1978.
Henning Rischbieter: Hannoversches Lesebuch oder: Was in Hannover und über Hannover geschrieben, gedruckt und gelesen wurde. Bd. 2: 1850–1950. Schlüter. 2. Aufl. Hannover 1991, S. 102–105 (mit Auszügen aus Isidore Kaulbachs Erinnerungen). ISBN 3-87706-359-4
Wilhelm Rothert: Allgemeine Hannoversche Biografie Band 1: Hannoversche Männer und Frauen seit 1866, Sponholtz, Hannover 1912, S. 170–175
Hugo Thielen in: Hannoversches Biographisches Lexikon, S. 195.

外部リンク

フリードリヒ・カウルバッハの著作およびフリードリヒ・カウルバッハを主題とする文献 - ドイツ国立図書館の蔵書目録（ドイツ語）より。
* Stammbaum der Familie Kaulbach auf bad-arolsen.de (PDF; 872 kB)

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