フリードリヒ・カジミール・ケトラー

フリードリヒ・カジミール・ケトラー（1650年7月6日 - 1698年1月22日）は、17世紀後半のクールラント・ゼムガレン公でした。彼の治世は、公国の繁栄から衰退への転換期と見なされています。

生い立ちと即位

フリードリヒ・カジミールは、クールラント公ヤーコプ・ケトラーと、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムの妹ルイーゼ・シャルロッテの長男として生まれました。若い頃はネーデルラント連邦共和国で軍務に就き、騎兵連隊長を務めました。1682年に父ヤーコプが亡くなると、故国に戻り公爵位を継承しました。

治世と政策

父ヤーコプの治世下で、クールラント公国は経済的、政治的に繁栄を極めました。しかし、フリードリヒ・カジミールは、父が築いた富を維持、発展させるよりも、外面的な華美を好みました。彼は贅沢な宮廷生活を送り、その資金を捻出するために、クールラントの植民地であったトバゴ島をイギリスに売却しました。また、軍事力の強化には関心を示さず、国力の維持を怠ったとされています。

大北方戦争前夜の死

フリードリヒ・カジミールは、大北方戦争が始まる直前の1698年に亡くなりました。公爵位は幼い息子のフリードリヒ・ヴィルヘルムが引き継ぎましたが、経験不足のため、迫り来る危機の舵取りは困難を極めました。大北方戦争に巻き込まれたクールラント公国は、周辺諸国からの侵略にさらされ、有能な指導者もいないという状況下で、衰退の一途を辿ることになります。

家族

フリードリヒ・カジミールは生涯に二度の結婚をしました。最初の妻はナッサウ＝ジーゲン侯ハインリヒの娘ゾフィー・アマーリエで、3人の娘をもうけました。

マリー・ドロテア：ブランデンブルク＝シュヴェート辺境伯アルブレヒト・フリードリヒと結婚
エレオノーレ・シャルロッテ：ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル＝ベーヴェルン公エルンスト・フリードリヒと結婚
アマーリエ・ルイーゼ：ナッサウ＝ジーゲン侯フリードリヒ・ヴィルヘルム1世アドルフと結婚

1691年には、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムの娘エリーザベト・ゾフィーと再婚し、2人の息子をもうけました。

フリードリヒ・ヴィルヘルム：クールラント・ゼムガレン公
* レオポルト・カール

評価

フリードリヒ・カジミールは、父ヤーコプの築いた繁栄を浪費し、公国を衰退へと導いた君主として評価されることが多いです。彼の治世は、クールラント公国の歴史における転換点であり、その後の苦難の時代の幕開けとなりました。

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