フリードリヒ・フォン・オリヴィエ

フリードリヒ・フォン・オリヴィエ（Woldemar Friedrich von Olivier、1791年4月23日 - 1859年9月5日）は、19世紀前半に活躍したドイツの画家です。彼は、風景画や宗教画、歴史画など、幅広いジャンルの作品を手がけました。

生い立ちと美術教育

オリヴィエは、ドイツのデッサウで生まれました。父親はスイス出身の教育者であり、デッサウの改革派学校フィランソロピニムの教授でした。彼には、同じく画家となった兄が二人いました。長兄はフェルディナント（1785-1841）、次兄はハインリヒ（1783-1848）です。幼い頃から美術に興味を持っていたオリヴィエは、1801年から1802年にかけて、フィランソロピニムの美術教師であるコルベやハルデンヴァンクから美術教育を受けました。また、デッサウ宮廷の彫刻家であるフリーデマン・フノルトからも指導を受け、その才能を伸ばしました。

ドレスデン、ウィーンでの修業

1804年、オリヴィエは兄フェルディナントと共にドレスデンに移り、本格的に絵画の修業を始めました。1807年に兄がパリに移ると、オリヴィエは一時的にドレスデンに残りましたが、1811年に兄が帰国すると共にウィーンに移り住みました。ウィーンではウィーン美術アカデミーで学び、更なる技術の向上を目指しました。

ナポレオン戦争への従軍

1813年、ナポレオン戦争（解放戦争）が始まると、オリヴィエは詩人のテオドール・ケルナーと共に、ウィーンからブレスラウまで徒歩で移動し、リュッツォウ義勇部隊に志願して従軍しました。その後、一時的にイギリスへ渡り、1814年にウィーンの兄の家に戻りました。

イタリアへの旅と画家仲間との交流

1817年、オリヴィエは兄やフィリップ・ファイト、カール・ルードヴィヒ・フロンメル、ユリウス・シュノル・フォン・カロルスフェルトらとザルツブルクへ写生旅行に出かけました。1818年11月には、カール・シュミット、カロルスフェルトと共にイタリアへ旅し、フィレンツェに滞在しました。そこで、美術史研究家のルーモールと知り合いました。その後、ローマでは、パッサファント、オーファーベック、コルネリウス、シャドウ、ヨハネス・ファイトといった画家たちと交流を深めました。プロイセン大使が滞在していたカファレッリ宮殿に部屋を与えられたオリヴィエは、レーベニッツと共に制作活動に励みました。4年間のローマ滞在後、1823年にウィーンに戻りました。

ミュンヘンでの活動と晩年

1825年、オリヴィエは兄の結婚相手の連れ子と結婚しました。その後、ミュンヘンに移り、カロルスフェルトの助手として宮廷の装飾画などを手がけました。1848年に弟のハインリヒが亡くなると、故郷のデッサウに戻り、実家を継ぎました。1859年にデッサウでその生涯を閉じました。

作品の特徴

オリヴィエの作品は、ロマン主義の影響を受け、自然の美しさや宗教的なテーマを繊細な筆致で表現しているのが特徴です。風景画では、光と影のコントラストを巧みに使い、幻想的で詩的な雰囲気を醸し出しています。宗教画では、人物の感情や内面を深く掘り下げ、見る人の心を揺さぶるような作品を残しています。彼の作品は、同時代の画家たちにも大きな影響を与え、後世にも高く評価されています。

参考文献

Constantin von Wurzbach: O’Livier, Künstlerfamilie. In: Biographisches Lexikon des Kaiserthums Oesterreich. 21. Theil. Kaiserlich-königliche Hof- und Staatsdruckerei, Wien 1870, S. 57 f. (Digitalisat).
Franz Schnorr von Carolsfeld: Olivier, Ferdinand von. In: Allgemeine Deutsche Biographie (ADB). Band 24, Duncker & Humblot, Leipzig 1887, S. 308–311. (Familienartikel)
* Helga Heise: Olivier, von. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 19, Duncker & Humblot, Berlin 1999, ISBN 3-428-00200-8, S. 523 f. (Digitalisat).

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