フリー・ジャズ (アルバム)

フリー・ジャズ：オーネット・コールマンによる集団即興演奏の革新

1961年、ジャズ・サクソフォーン奏者オーネット・コールマンによってアトランティック・レコードから発表されたアルバム『フリー・ジャズ（Free Jazz: A Collective Improvisation）』は、フリー・ジャズという新たなジャンルを確立した作品として、ジャズ史にその名を刻んでいます。当初は37分に及ぶ「フリー・ジャズ」1曲のみを収録したレコードでしたが、CD化の際に同日のレコーディング・セッションから「ファースト・テイク」が追加収録されました。

革新的なレコーディング手法

このアルバムの最大の特徴は、ステレオの左右チャンネルからそれぞれ異なるカルテットの演奏が聞こえるという、斬新なレコーディング手法です。オーネット自身はテーマとアンサンブル部分を作曲しましたが、それ以外の部分は各メンバーの即興演奏に委ねられています。これにより、コード進行や形式にとらわれない、自由奔放な音楽が生まれました。

フリー・ジャズの誕生

アルバムタイトルが示すように、本作はフリー・ジャズというジャンルの名前の由来となりました。それまでのジャズにあったコード進行や形式といった制約から解放され、ミュージシャンたちはより自由な発想で即興演奏を行うことが可能になりました。この革新的な試みは、その後のジャズシーンに大きな影響を与えました。

ジョン・コルトレーンへの影響

オーネット・コールマンのフリー・ジャズは、ジョン・コルトレーンにも大きな影響を与えました。コルトレーンはオーネットとの共演などを通じてフリー・ジャズに関心を示し、本作に触発されて集団即興作品『アセンション』を制作しました。

ソロ・オーダー

コードの制約から逃れた自由な即興演奏が繰り広げられる本作ですが、ソロ・オーダーは以下の通り事前に決められていました。

1. エリック・ドルフィー
2. フレディ・ハバード
3. オーネット・コールマン
4. ドン・チェリー
5. チャーリー・ヘイデン
6. スコット・ラファロ
7. エド・ブラックウェル
8. ビリー・ヒギンズ

演奏メンバー

左チャンネル

オーネット・コールマン - アルト・サックス
ドン・チェリー - ポケット・トランペット
スコット・ラファロ - ベース
ビリー・ヒギンズ - ドラム

右チャンネル

エリック・ドルフィー - バスクラリネット
フレディ・ハバード - トランペット
チャーリー・ヘイデン - ベース
エド・ブラックウェル - ドラム

『フリー・ジャズ』は、ジャズの歴史における重要なターニングポイントであり、その革新的な試みは、今もなお多くのミュージシャンに影響を与え続けています。

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