フレグランスジャーナル社

フレグランスジャーナル社は、香りを専門とする出版社として、専門的な情報発信と文化的な活動を展開してきました。ここでは、その設立から主な出版物、そしてユニークな事業であった「香りの図書館」について解説します。

設立と出版事業

1973年5月、津野田勲によってフレグランスジャーナル社は設立されました。同年7月には、香粧品科学研究開発の専門誌である『FRAGRANCE JOURNAL』を創刊。当初は隔月刊でしたが、1989年からは月刊誌として、よりタイムリーな情報提供を行うようになりました。さらに2000年、香りの生理的・心理的作用を中心とした学際的な情報誌『AROMA RESEARCH』（年4回刊）を創刊し、香りの研究分野における情報発信を強化しました。

その他にも、アロマテラピーや代替療法を扱う『aromatopia』（隔月刊）を発行するなど、幅広いニーズに応える出版活動を展開しています。

シリーズ刊行物としては、『香り選書』『香り新書』『香りで美と健康シリーズ』などがあり、香粧品化学、生物学、生理学、ヘルスケア、香りと生活とのかかわりなど、におい・香りに関する様々なテーマを扱った書籍を出版しています。これらの出版活動を通じて、香りに関する知識の普及と研究の発展に貢献してきました。

また、同社は香り・においの学術・文化を守り育てる「香創育」を提唱しており、セミナーなどのイベントも開催しています。

香りの図書館

フレグランスジャーナル社の事業の中でも特色の一つであったのが「香りの図書館」です。2005年10月、同社と筑波大学名誉教授の渋谷達明によって、千代田区飯田橋に開館しました。約1万冊の蔵書を誇り、香粧品、香道、ハーブ、植物、環境、心理学など、香りに関する幅広い分野の書籍・雑誌が揃えられていました。中には大正時代に発行された貴重な絶版本も含まれており、研究者や愛好家にとって貴重な情報源となっていました。

香りの図書館は、2013年4月に移転しましたが、2018年2月28日に惜しまれつつ閉館しました。

フレグランスジャーナル社は、出版事業と「香りの図書館」を通じて、香りに関する知識の普及と文化の振興に大きく貢献しました。現在も、その出版活動は続いており、香りに関する情報発信の重要な役割を担っています。

もう一度検索