フレゼリク9世 (デンマーク王)

フレデリク9世は、1899年3月11日に生まれ、1972年1月14日に生涯を終えたデンマーク国王です。1947年4月20日に即位し、その治世は25年近くに及びました。クリスチャン10世とアレクサンドリーネ王妃の長男として生まれたフレデリク9世は、デンマーク王室の伝統に従い、海軍士官としての教育を受けました。

生涯

フレデリク9世は、「デンマーク海軍アカデミー」で学び、その後コペンハーゲン大学に進学しました。1930年には、弟のクヌーズと従兄弟のアクセルと共に日本を訪問しています。1935年、スウェーデン国王グスタフ6世アドルフの娘、イングリッド王女と結婚しました。この結婚は、デンマークとスウェーデン両国の王室間の絆を強めるものでした。

1972年、フレデリク9世は崩御しました。歴代のデンマーク国王はロスキレ大聖堂の堂内に埋葬されてきましたが、フレデリク9世の遺言により、大聖堂の外部に埋葬されました。これは彼の生前の希望によるものでした。

人物

フレデリク9世は、パイプタバコを愛好していたことで知られています。特に、デンマークのタバコ商ポール・オルセンの「My Own Blend」ブランドには、フレデリク9世が愛用していた特注のブレンドが加えられて販売されていました。このブレンドは、かつて日本でも購入できましたが、現在では海外からの個人輸入のみとなっています。

また、フレデリク9世は音楽にも造詣が深く、オーケストラの指揮も行っていました。デンマーク王立管弦楽団を指揮し、シューベルトの『未完成』などの音源もリリースされています。彼の芸術的な側面は、多くの人々に感銘を与えました。

さらに、フレデリク9世は、胸部や両腕に龍などの刺青を入れていたことでも知られています。1949年には、イギリスを訪問した際に、当時「彫師の王」と呼ばれていたジョージ・バーチェットに刺青の彫り直しを依頼しました。1951年には、アメリカのグラフ誌『ライフ』に、ボディビルに励む国王と刺青姿の上半身写真が掲載され、そのワイルドな一面が紹介されました。

家族

フレデリク9世は、イングリッド王妃との間に3人の娘をもうけました。長女のマルグレーテは、後のデンマーク女王マルグレーテ2世です。次女のベネディクテは、ザイン＝ヴィトゲンシュタイン侯リヒャルト夫人となり、三女のアンネ＝マリーはギリシャ王コンスタンティノス2世の王妃となりました。

当時のデンマーク王位継承法は男性優位であり、フレデリク9世の弟クヌーズが王位を継承する予定でした。しかし、第二次世界大戦中にクヌーズ王子がナチス寄りであったため国民の人気がなく、1953年に王位継承法が改正されました。これにより、男子優先ながらも女子の継承も認められることとなり、フレデリク9世に男子が生まれなかった場合でも、長女のマルグレーテが王位を継承できるようになりました。フレデリク9世の崩御後、マルグレーテ王女は女王マルグレーテ2世として即位しました。

系図

フレデリク9世の系図は以下の通りです。
クリスチャン10世（父）
アレクサンドリーネ王妃（母）
イングリッド王妃（妻）
マルグレーテ2世（長女）
ベネディクテ（次女）
アンネ＝マリー（三女）

関連事項

フレデリク9世にちなんだものとして、「フレデリク9世橋」があります。この橋は、彼の名を冠した重要なインフラストラクチャーです。

フレデリク9世は、その多様な才能と個性で、デンマーク国民に愛された国王でした。彼の音楽への情熱、タバコへの愛好、そして刺青というユニークな側面は、彼を特別な存在として際立たせています。また、王位継承法の改正は、デンマークの歴史において重要な転換点となり、娘のマルグレーテ2世が女王となる道を切り開きました。

もう一度検索