フレデリカ・フォン・シュターデ

フレデリカ・フォン・シュターデ（Frederica von Stade）は、1945年6月1日生まれのドイツ系アメリカ人のメゾソプラノ歌手です。彼女はファンから「フリッカ（Flicka）」の愛称で親しまれています。ニュージャージー州ソマヴィル出身で、1970年にメトロポリタン歌劇場でデビューを飾って以来、同歌劇場を中心に数多くの役柄を演じてきました。また、アメリカ国内の主要な歌劇場でも幅広く活躍しています。

オペラの分野にとどまらず、フレデリカ・フォン・シュターデは『サウンド・オブ・ミュージック』などのミュージカルにも出演し、その才能を発揮しました。彼女の多岐にわたる音楽活動は、数多くの録音作品にも記録されています。2002年にはソルトレークシティ冬季オリンピックの開会式にも出演し、その歌声を世界に届けました。2010年に惜しまれつつも現役を引退しましたが、彼女の音楽は今もなお多くの人々に愛され続けています。

フレデリカ・フォン・シュターデは、主要なレーベルからオペラやアリア集、管弦楽伴奏歌曲、リサイタル・ライブなどの録音を数多くリリースしています。ポピュラー音楽とのクロスオーバーにも積極的に取り組み、ジャズ・アルバムの制作や、指揮者マイケル・ティルソン・トーマス、サミュエル・レイミー、トーマス・ハンプソンらと共演し、映画『踊る大紐育』のリメイクに挑戦するなど、その活動は多岐にわたります。彼女は、グラミー賞に6度ノミネートされたほか、ディスク大賞グランプリを2度受賞。さらに、ドイツ・レコード批評家賞、イタリアのレコード批評家賞第1等、ステレオ・レビュー誌やオペラ・ニュース誌における「年間最優秀賞」など、数々の栄誉に輝いています。フランス政府からは勲章を授与され、1983年には芸術活動における功績が認められ、レーガン大統領から表彰されています。

彼女の声質はリリック・ソプラノとしても通用するほど広く、伸びやかで澄んだ響きを持ち、ヴィブラートの少ない自然な発声法が特徴です。『フィガロの結婚』のケルビーノ、『イドメネオ』のイダマンテ王子、『シェリュバン』のケルビーノといったズボン役や、『ルサルカ』のタイトル・ロール、カントルーブの歌曲集『オーヴェルニュの歌』などを得意としています。特にフランス音楽、とりわけマスネのオペラに深い共感を寄せています。また、アメリカの作曲家リチャード・ダニエルプールに委嘱した管弦楽伴奏つき連作歌曲集『エレジー』では、第二次世界大戦中にドイツで戦死した自身の父親の書簡をテクストとして使用し、深い感動を呼びました。

彼女の公式サイト（英語）では、さらに詳しい情報が提供されています。

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