フレデリック・ロー・オルムステッド・ジュニア

フレデリック・ロー・オルムステッド・ジュニア（Frederick Law Olmsted, Jr.、1870年7月24日 - 1957年12月25日）は、アメリカを代表するランドスケープアーキテクトの一人です。父であるフレデリック・ロー・オルムステッド・シニアの会社を、弟のジョン・チャールズ・オルムステッドとともに引き継ぎ、オルムステッド兄弟社 (Olmsted Brothers) として活動しました。

生涯と業績

ジュニアは、野生動物の保護活動に深く関わり、特に国立公園の設立と運営に生涯を捧げました。アカディア国立公園、エバーグレーズ国立公園、ヨセミテ国立公園など、数多くの国立公園プロジェクトを手がけ、自然保護に対する彼の情熱が、これらの公園の設立に大きく貢献しました。彼の功績を称え、メリーランド州のヨセミテ、オルムステッド島、グレートフォールズポトマック河畔のオルムステッドポイントが命名されました。また、レッドウッド国立公園内のオルムステッドグローブは、1953年に彼に捧げられました。

ジュニアは、アメリカ公園協会の創設メンバーであり、後にアメリカ造園協会の会長も務めるなど、業界の発展にも貢献しました。彼のプロジェクトは、国立公園の設立、管理手法の確立、環境保護策の策定など、多岐にわたります。

ワシントンD.C.では、ナショナルモール、ジェファーソンメモリアル、ホワイトハウスの敷地、ロッククリーク公園などの主要なランドスケープデザインに関わりました。1898年には、チャールズ・エリオットや弟とともに、ボストンのフェアバンクス・ネポンセットバレーパークウェイを設計し、この公園・パークウェイは2005年に国家歴史登録財に登録されました。

その他にも、エルム・パーク（ウースター）、サンフランシスコのゴールデンゲート・パーク、ポートランドのワシントン・パーク、ロサンゼルスの都市計画案、日本の田園調布のモデルとなったセント・フランシス・ウッド、シアトル・シティパークのデザイン改善、グリーン・レイク・パーク、フロリダ州ウェールズのタワーガーデンズ湖、ニューヨークのフォレストヒルズガーデン、トーランス、デトロイト、ホールヨーク、ウテイカなどの都市計画に携わりました。コーネル大学のレイアウトプランニングでは、テラススタイルのマスタープラン原案を担当し、大規模なアートクワッドとリブ斜面を設計しました。

初期のキャリアと家族

ジュニアは、ニューヨーク・スタテン島で、フレデリック・ロー・オルムステッド・シニアとメアリーの息子として生まれました。また、ジョン・チャールズ・オルムステッドは異父兄弟です。ロクスベリー・ラテン・スクールを1890年に卒業後、父の弟子として、シカゴ万国博覧会（1893年）や、ジョージ・ヴァンダービルトのビルトモア・エステートの初期段階のプロジェクトに関わるなど、父の重要なプロジェクトでキャリアを積みました。1894年にはハーバード大学で学士号を取得し、翌年には父の事務所のパートナーとなりました。父の引退後、ジュニアと弟のジョンが会社を継承し、オルムステッド兄弟社を設立しました。

オルムステッド兄弟社

オルムステッド兄弟社は、その後半世紀にわたり、アメリカ全土で数千ものランドスケーププロジェクトを手がけました。特に1890年代には、南北戦争後の南部都市、アトランタ、シャーロット、ナッシュヴィルなどで、ダウンタウン地区の発展に伴い郊外住宅地の開発が進み、オルムステッド兄弟社は、郊外開発を担う主要なデザイナーとして活躍しました。

公共への貢献

1900年には、母校ハーバード大学に造園教育の正規課程を設立するために招聘され、後のハーバード大学デザイン大学院の基礎を築きました。1901年には、セオドア・ルーズベルト大統領によって、コロンビア特別区の公園改善委員会のメンバーに任命され、ワシントンD.C.の都市計画の再構築に貢献しました。

1910年には、アメリカ市民協会から国立公園の新担当局開設についての顧問として招聘され、1920年には、都市圏における公園システムや全国スリーンウェイズの計画を策定しました。1928年には、カリフォルニア州立公園委員会から長期的な目標策定を依頼され、州全体の公園調査を担当しました。オルムステッド兄弟社は、1930年代初頭にピークを迎え、約60人の従業員を抱えていました。ジュニアの最後の遺族の一員は、1949年に引退しました。

フレデリック・ロー・オルムステッド・ジュニアは、ランドスケープアーキテクチャーの分野において、卓越した業績を残し、その功績は今日でも高く評価されています。

参考文献

『ランドスケープ研究』日本造園学会誌 1997年1月号

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