フレドリック・マーチ

フレドリック・マーチ（Fredric March）

フレドリック・マーチは、1897年8月31日にアメリカのウィスコンシン州で生まれ、本名をアーネスト・フレデリック・マクインタイア・ビケルといいます。彼は1975年4月14日に逝去するまで、映画界で多大な影響を与えた俳優であり、スマートで洗練された役柄から、特殊なキャラクターまで幅広く演じたことで知られています。特にパラマウント映画での活動が顕著で、1931年の『ジキル博士とハイド氏』および1946年の『我等の生涯の最良の年』において、アカデミー主演男優賞を二度受賞しました。

生涯とキャリアの初期

フレドリックは幼少期から演劇に対する強い興味を持っており、14歳の時にアマチュア劇団に参加しました。彼はラシーン・ハイスクールを卒業した後、ウィスコンシン州立大学で経済学を学びましたが、第一次世界大戦に従軍することとなり、砲兵隊で中尉としての任務を遂行しました。在学中に演劇に対する情熱を高め、戦争から帰還した後に大学を卒業し、ついに俳優としての道を歩み始めました。

1920年にはナショナル銀行の行員として働くも、俳優の夢を諦めきれず、臨時職員として働きながら舞台や映画に少しずつ出演しました。彼の最初の舞台名はフレドリック・バイケルで、1924年にフレドリック・マーチに改名しました。この芸名は、母の旧姓に由来しています。

映画界での成功

マーチは1927年に映画『ダミイ』で映画デビューを果たし、その演技力と端正なルックスにより、すぐに人気を博しました。この頃、彼はいくつかのトーキー映画に出演し、その中でも1931年の『ジキル博士とハイド氏』での演技が高く評価され、彼はアカデミー賞を受賞します。この作品では、正直な医者と野獣的なハイドとの二重人格を見事に演じ分け、彼のキャリアにおける大きなターニングポイントとなりました。

しかし、作品に対する不満から映画会社を転々とするようになります。パラマウントとの契約を拒否した1934年以降はフォックスに移籍し、再度アカデミー賞にノミネートされるような重要な役を演じました。彼のキャリアはこの頃がピークで、1938年に再びパラマウントに戻りますが、撮影所への不満もあってブロードウェイでの舞台に挑戦します。

後期の活動と受賞歴

1946年、マーチは『我等の生涯の最良の年』で中年の復員兵を演じ、再びアカデミー主演男優賞を受賞します。この作品では、彼の演技がより深い感情を引き出し、新たな人気を獲得しました。さらに、舞台でも多くの成功を収め、1951年には『セールスマンの死』でアカデミー賞にノミネートされ、1955年には『必死の逃亡者』で印象的な演技を残します。

マーチはリベラルな政治信条を持っており、1949年にはブラックリストに載せられたこともありました。また、私生活においては二度の結婚があり、フローレンス・エルドリッジとの結婚は特に注目されています。彼は1972年に前立腺癌の手術を受けますが、3年後に亡くなりました。

結論

フレドリック・マーチの名は、アカデミー主演男優賞を二度受賞した数少ない俳優のひとりであり、彼の演技力と幅広い演技スタイルは、今後も多くのファンの心に残ることでしょう。彼の影響力は映画業界においても決して薄れることはなく、記憶に残る俳優として名を刻んでいます。

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