フロッグモア・コテージ

フロッグモア・コテージ

フロッグモア・コテージ（英語: Frogmore Cottage）は、イギリス、ウィンザーにあるフロッグモア・エステート内、ホーム・パークの一角に位置する歴史的な邸宅です。王室の公有地であるクラウン・エステートに属しており、その歴史的価値からグレードIIに指定された建造物となっています。1801年、当時のイギリス王妃シャーロットの指示により、フロッグモア・ハウスの庭園近くに建設されました。

歴史的背景

このコテージは当初、「ダブル・ガーデン・コテージ」という名称で呼ばれていました。シャーロット王妃の1801年の支出記録によれば、ボウエンという人物によって450ポンドの費用で建設されたとされています。長い歴史の中で、いくつかの興味深いエピソードも伝えられています。例えば、ヴィクトリア女王は1875年6月28日にコテージで朝食をとった際、庭にいた無数のカエルを見て、大変不快に感じたという逸話があります。1975年10月には、このコテージは正式に第2級イギリス指定建造物に登録されました。しかし、建造物指定時のリストには、その歴史的背景について詳しい記述はほとんど見られず、「19世紀初期に建てられた、欄干付きポーチを伴うセンターブレイク、桟付き窓があり漆喰で覆われた簡素な二階建ての家」として、主に建築的な特徴が簡潔に記されています。

居住者の変遷

フロッグモア・コテージは、その歴史の中で様々な人々の住居あるいは滞在先となりました。

初期: シャーロット王妃とその未婚の娘たちのための静養用の施設として利用されました。
19世紀: 1840年代には、著名な神学者であったヘンリー・ジェームズ・シニアとその家族がこのコテージに居住していました。また、1897年にはヴィクトリア女王の個人秘書を務めたアブドゥル・カリムが、妻や父と共にここに移り住んでいます。
20世紀: ロシア革命を経て祖国を追われたロマノフ家の一員であるクセニア・アレクサンドロヴナ大公妃が、1920年代に滞在先として利用しました。
21世紀初頭: 近年では、ウィンザーの地所で働く人々向けの集合住宅として使用されていました。この時期、コテージは五つの独立した区画に分割されていました。
* 近年: 2019年、息子のアーチー・マウントバッテン＝ウィンザーの誕生を控えていたサセックス公爵ヘンリー王子とメーガン妃夫妻のために、大規模な改修が行われました。この改修により、コテージは4つの寝室と子供部屋を備えた一戸建ての住宅として整備されたと報じられています。改修費用として、王室助成金から240万ポンドが支出されましたが、邸宅自体が指定遺産であるため、改修自体は元々計画されていた側面もあったとされます。しかし、2020年1月に公爵夫妻が王室の公務から退き、北米へ移住する意向を表明したことを受け、夫妻は改装に充てられた王室助成金分を返還したいとの意向を示しました。同年9月には、公爵によってその全額が返済されたと伝えられています。

公爵夫妻が退去した後、2020年11月には夫妻の私物が全て運び出され、ヘンリー王子の従妹にあたるユージェニー王女とその夫ジャック・ブルックスバンク氏が移り住んだと報じられました。しかし、その後わずか数ヶ月で、2020年12月にはコテージが再び空き家になったと報じられています。

フロッグモア・コテージは、その簡素ながらも歴史を持つ建築と、多岐にわたる居住者たちの物語を通じて、イギリス王室の歴史の一端を伝える建造物として存在しています。

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