フロレス・アリエ

フロレス・アリエ

ペルーを代表する陸上競技選手、フロレス・アリエは2004年6月4日に日本の地で生を受けました。短距離走を専門とし、特に400メートル競走を得意としています。父親はペルーと日本の、母親はペルーとイタリアの血筋を引いており、彼女自身はペルー国籍を保持しています。この多様な文化的背景が、彼女の競技人生にも影響を与えているのかもしれません。

静岡県に育ったアリエ選手は、地元の浜松市立舞阪中学校で陸上競技に励みました。中学3年次の2019年には、全日本中学校陸上競技選手権大会の女子100メートル走に出場。12秒88をマークしましたが、惜しくも予選で敗退となりました。

その後、東海大学付属静岡翔洋高等学校に進学。高校時代には、得意とする400メートル競走で頭角を現します。高校2年時、インターハイも兼ねて開催された2021年の全国高等学校陸上競技対校選手権大会に出場し、女子400メートルで6位入賞を果たすなど、高校生年代のトップ選手としての地位を確立しました。

高校卒業後は、スポーツ科学の分野で名高い日本体育大学体育学部へ進み、2023年4月に入学。大学の陸上競技部に所属し、更なる競技レベルの向上を目指して日々練習に励んでいます。

そして、大学3年生として迎えた2025年5月3日、静岡県で行われた静岡国際陸上競技大会において、アリエ選手は歴史的な走りを見せました。女子400メートル走で、51秒71という驚異的なタイムを記録し、優勝を飾ったのです。

この51秒71という記録は、日本の女子400メートル界における長年の壁を破るものでした。具体的には、丹野麻美選手が2008年の同大会で樹立した51秒75という日本記録を、実に17年ぶりに更新するタイムです。アリエ選手はペルー国籍であるため、このタイムは日本陸上競技連盟による公式な「日本記録」としては認定されませんが、従来の日本記録を上回るタイムであることから「日本最高タイム」と称されることとなりました。

さらに、このタイムは丹野選手が福島大学在学中に記録した51秒80という日本女子学生記録をも更新するものでした。アリエ選手は日本の大学に在学しており、日本学生陸上競技連合に登録している選手であるため、この記録は正式に日本女子学生新記録として公認されることになりました。

日本の陸上競技の歴史に名を刻むタイムを記録したフロレス・アリエ選手。ペルー代表選手として、そして日本の大学で学ぶ学生アスリートとして、彼女の今後の国際舞台での活躍に大きな期待が寄せられています。多様な背景を持つ若き才能が、世界の舞台でどこまで飛躍するのか、その動向から目が離せません。

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