フロート (プロジェクト管理)

フロートとその概念

プロジェクト管理における「フロート」とは、特定のタスクが時間通りに完了しなくても、後続のタスクや全体のプロジェクトの進行に影響を与えない余裕の時間を指します。フロートには主に「フリーフロート」と「トータルフロート」の2種類があります。

フリーフロートとトータルフロートの違い

フリーフロート

「フリーフロート」は、特定のタスクが遅延しても、それ以降のタスクに遅れをもたらさない余裕時間です。つまり、そのタスクは他のタスクとの依存関係があまりない場合に見られます。このような余裕があるタスクは、プロジェクト全体を遅延させることなく、スケジュールに柔軟性を持たせることができます。

トータルフロート

一方、「トータルフロート」は、特定の作業単位（ここでは「パス」と呼びます）が遅延しても、プロジェクト全体に与える影響を考慮した余裕時間です。これは、プロジェクト全体のスケジュールの調整に役立ち、遅れてもどのくらいまで耐えられるかを示す指標となります。トータルフロートは、特定のパス内のすべての活動のフリーフロート値を基に算出されます。

クリティカルパスとの関連

フロートは「クリティカルパス法」(CPM)において重要な要素です。クリティカルパスとは、プロジェクトの完了に最も影響を与えるタスクの連鎖を示します。このパス上にあるタスクにはフロートが存在せず、遅延は直接的にプロジェクト全体を遅らせるため、非常に重要です。逆に、クリティカルパス上にないタスクはフロートを持ち、その遅延が全体に与える影響が小さくなります。

実例：窓の修理プロジェクト

フロートの概念を具体的に理解するために、家の窓の壊れたガラスを交換するプロジェクトを考えてみましょう。ここでは複数のタスクがあり、ガラスの入手、パテの購入、新しいガラスの取り付け、塗料の選択、ガラスの清掃が考えられます。

このプロジェクトには依存関係があります。たとえば、塗料は事前に選択する必要があり、その後でしか購入できません。また、新しいガラスの取り付けが終わるまでは、実際に窓の塗装を行うこともできません。このため、ガラスの入手が遅れるとプロジェクト全体が遅延する可能性が高まります。この場合、ガラスの入手はクリティカルパス上のタスクであり、フロートは存在しません。

一方で、塗料は比較的短時間で購入できるため、パテが乾くのを待ってから塗装作業に入ることができれば、プロジェクト全体がストップすることはありません。この場合、塗料の購入にはフリーフロートが存在し、クリティカルなタスクではないことがわかります。しかし、塗料の選択が遅れると、その影響は塗料の購入に波及し、プロジェクト全体が遅延するリスクがあります。この活動にはフリーフロートはないが、トータルフロートのあるネットワークを経由するタスクに関連しています。

まとめ

フロートの概念はプロジェクト管理において非常に重要であり、タスクの順序や依存関係を考慮しながら、どの程度の余裕時間があるのかを把握することが不可欠です。フリーフロートとトータルフロートを理解することで、より効率的にプロジェクトを進めることが可能となります。

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