フローンチ

フローンチ：紋章学における半円形のチャージ

フローンチ（英: Flaunch）は、紋章学においてシールド（盾）またはフィールド（地色）の左右両端からフィールドの内側へ向かって突き出た半円形または円弧状の図案を指します。フローンチは常に左右一対で使用され、紋章記述（ブレイゾン）では常に複数形（flaunches）で記述されます。

フローンチはオーディナリー（紋章の基本的な図形）の中でもサブオーディナリーに分類され、他のオーディナリーと同様に分割線で分割することが可能です。フローンチは、紋章に独特の視覚的特徴を加える要素として用いられます。

フローンチに関連する用語

フローンチのディミニュティブ（縮小形）として、フランケス (flasques) やヴォイダース (voiders) が挙げられることがあります。しかし、これらは単にフローンチを意味する別の言葉に過ぎないと解釈する紋章官もおり、見解の相違があります。同様に、フローンチと同義とされる言葉には、フランクス (flanks) やフラスクス (flasks) があります。これらの用語もフローンチと同様に単独で使用することはできません。

現代の紋章学では、これらの用語はあまり使用されません。

フローンチに関する逸話

19世紀の紋章研究家プランシェ (Planché) は、その著書の中で、貴族女性の非嫡出子の男子は、サーコートに描く紋章を、通常よりも大きく見えるフローンチの間の領域に配置しなければならないという規則があったと紹介しています。しかし、これは実際には規則ではなく、あくまで一例に過ぎなかったと考えられています。

スクウェア・フランク

紋章学者のジェームズ・パーカー (James Parker) は、円弧状ではなく、フィールドの左右の辺を底辺とする三角形のような、先の尖った直線的なフローンチが存在したと述べています。このようなフローンチはスクウェア・フランク (square flanks) と呼ばれ、モーゼルトン (Moselton) の紋章に見られます。モーゼルトンの紋章記述は以下の通りです。

Or, three palets, over all two square flanks gules.

（金地に3本の縦帯、全体に赤いスクウェア・フランク2つ）

関連項目

紋章学
紋章
旗章学

外部リンク

コウブチ紋章資料館
紋章学総合サイト
中世ヨーロッパの風景 「紋章について」
* Dragon's Lair「ヨーロッパ紋章学」

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