フースケ

『フースケ』 - 手塚治虫によるナンセンス漫画

『フースケ』は、日本の漫画界の巨星、手塚治虫が1970年代に創作したナンセンス作品で、主人公の名前を冠したシリーズとして広く知られています。作品は『週刊漫画サンデー』で初めてロールアウトし、1969年から1970年にかけて月に一度のペースで連載されました。この漫画は、各エピソードが独立しており、特にフースケという平凡な青年が遭遇する不条理な状況が描かれています。

フースケのキャラクター

フースケの本名は下村風介（しもむらふうすけ）であり、三頭身で貧弱な体型、そして長い顔がトレードマークの冴えない青年です。既成概念に捉われないフースケのキャラクターは、手塚自身のアシスタントであった下村進をモデルとしています。彼は「ボンクラでグウタラ」といった特徴を持ち、異常事態に対して右往左往する姿が基本的な構図となっています。手塚はこうした設定を「シチュエーション＝コミック」と定義し、平凡さから生まれるドラマを楽しんでいます。

連載の展開

本作の連載は全10話で、それぞれのエピソードは独立しているため、いずれからでも楽しむことが可能です。『サイテイ招待席』という形でスタートし、連載後に『フースケ』のシリーズ名が与えられました。特に印象的なのは、各話が一話完結であることと、フースケが不断に変化する状況に置かれる点です。手塚はこの作品を通じて、我々の日常にも潜む「非日常性」を強調しています。

主なエピソード

1. ペックス ばんざい: フースケが発見した不思議な生物「ペックス」が引き起こす騒動。
2. 占性術入門: フースケがセックスを通じて運勢を占う女性と出会い、その運命に翻弄されるエピソード。
3. 月に吠える女たち: 女たちが満月に興奮し、フースケが狙われるという奇妙な物語が展開されます。
4. 怪談雪隠館: 手塚治虫自身が主人公となった異色のエピソード。
5. 無能商事株式会社: 社内の無能社員としてのフースケの奮闘が描かれています。
6. げてもの: 瀬戸際に立たされたフースケのユーモア溢れる苦境。
7. どんけつ紳士: 脱藩した外国の王族がフースケに絡む騒動を描く。

単行本と再録

初めて単行本としてまとめられたのは1970年代で、各エピソードが収められました。その後も単行本は再録され続け、近年では『手塚治虫大人漫画大全』にも収録されています。このように、フースケの世界は様々な形で享受され続けています。

結論

『フースケ』は手塚治虫のおかげで、平凡な日常に潜む非日常性をユニークな形で描き出している作品です。フースケというキャラクターは、手塚の深い観察眼と独特のユーモアを通じて、読者に笑いと考察を与えてくれます。手塚治虫の漫画作品の中でも、特に印象に残るシリーズの一つだと言えるでしょう。

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