ブジェク公国

ブジェク公国：シロンスクの歴史を彩る公国

ブジェク公国（ポーランド語：Księstwo Brzeskie；チェコ語：Knížectví Břežské；ドイツ語：Herzogtum Brieg）は、かつてシロンスク地方に存在した公国の一つです。首都はブジェクに置かれました。

公国の成立と変遷

ブジェク公国は、1311年にレグニツァ＝ヴロツワフ公国が分裂した際、ヘンリク5世の息子ボレスワフ3世によって創設されました。しかし、1329年にはボレスワフ3世がボヘミア王ヨハン・フォン・ルクセンブルクに臣従したことで、ボヘミア王冠領の一部となります。

15世紀には一時的にレグニツァ公国に再統合されるものの、その後再び分離。17世紀には再度統合されるという変遷をたどりました。1526年にハプスブルク家がボヘミア王位を獲得すると、公国はハプスブルク君主国の影響下に入ります。

相続をめぐる争い

16世紀、フリデリク2世はブランデンブルク選帝侯ヨアヒム2世ヘクトルとの間で、相続に関する協定を結びました。これは、シロンスク・ピャスト家のブジェク公爵家の血筋が途絶えた場合、ホーエンツォレルン家が公国を相続するという内容でした。しかし、この協定はハプスブルク家のボヘミア王フェルディナント1世によって無効とされてしまいます。

ブジェクは、レグニツァと共にシロンスク最後の独立的な公国となりました。1675年にピャスト家最後の公爵であるイェジ・ヴィルヘルムが亡くなると、公国はボヘミア王（ハプスブルク家）の直接支配を受けることになります。

ブランデンブルク＝プロイセンの主張

一方、ブランデンブルク＝プロイセンは、1537年の協定に基づきブジェク公国の支配権を主張し続けました。しかし、ハプスブルク政府は協定の有効性を認めず、ブランデンブルクがレグニツァやブジェクなどの諸公国を併合することを拒否しました。

シュレージエン戦争とその後

数十年後、プロイセン王フリードリヒ2世は、200年前に先祖が結んだ協定の履行を口実として、第1次シュレージエン戦争を引き起こし、オーストリアからシロンスク諸公国の大部分を奪い取りました。この戦争をきっかけに、ブジェク公国を含むシロンスク地方はプロイセンの支配下に入り、その歴史に新たな章が刻まれることになったのです。

ブジェク公国の歴史は、シロンスク地方の複雑な政治情勢と、周辺大国の思惑が絡み合ったものでした。公国の興亡は、中欧の歴史を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

参考文献
* ŽÁČEK, Rudolf. Dějiny Slezska v datech. Praha, Libri, 2003. ISBN 80-7277-172-8

もう一度検索