ブダペスト祝祭管弦楽団

ブダペスト祝祭管弦楽団

ブダペスト祝祭管弦楽団（Budapesti Fesztiválzenekar, Budapest Festival Orchestra）は、ハンガリーの首都ブダペストを拠点とする、国際的に高い評価を得ているオーケストラです。略称は英語でBFO、ハンガリー語ではBFZが用いられます。1983年、著名な指揮者であるイヴァン・フィッシャーと、ピアニストのゾルターン・コチシュによって設立されました。この楽団の大きな特徴は、音楽家自身が主体となって運営に携わる自主的な演奏団体であるという点です。創設以来、イヴァン・フィッシャーが音楽監督としてその芸術的方向性を牽引しています。

設立当初、その名称が示す通り、ブダペスト祝祭管弦楽団は年に数回、ハンガリー国内で開催される音楽祭などの特別なイベントで演奏を行うためのプロジェクト的な性格が強い団体でした。しかし、その質の高い演奏はすぐに注目を集め、1992年には通年の活動を行う常設オーケストラへと移行しました。ハンガリー国内においては、ブダペストにあるベーラ・バルトーク国立コンサートホールやリスト音楽院大ホールといった主要な会場で定期的なオーケストラコンサートを開催しています。加えて、ハイドンやモーツァルトに焦点を当てた公演、小編成による室内オーケストラや管楽器アンサンブルによるコンサート、そして子供たちを対象とした親しみやすい「ココア・コンサート」など、多岐にわたる企画を展開しています。夏の8月には「サマー・コンサート」、年末の12月には「クリスマス・チクルス」といった季節ごとの特別シリーズも恒例となっています。また、定期公演の枠内で、毎年3月に開催される大規模な音楽祭である「ブダペスト春の音楽祭」への出演も重要な活動の一つとなっています。

国内での活動と並行して、近年は国際舞台での活躍が特に顕著です。ザルツブルク音楽祭をはじめとする世界各国の主要な音楽祭やコンサートツアーに頻繁に招聘されており、その評価は確固たるものとなっています。楽団の高い演奏水準は、独自の厳格なシステムによって支えられています。全団員が毎年オーディションを受け直す必要があり、さらに団員はオーケストラの枠を超えてソリストとしても活躍できるような契約形態をとっています。これにより、常に優れた技術を持った音楽家たちが集まり、最高のパフォーマンスを生み出すことが可能となっています。

ブダペスト祝祭管弦楽団は、その実力に対する客観的な評価も確立しています。2010年には、イギリスの権威ある音楽雑誌『グラモフォン』が選ぶ「世界の偉大なオーケストラ20」の一つに挙げられ、第9位にランクインしました。さらに2020年には、同じくイギリスの『BBCミュージック・マガジン』による「世界のベスト・オーケストラ10」にも順位なしで選出されており、世界のトップオーケストラとしての地位を不動のものとしています。

録音活動にも意欲的で、質の高いアルバムを多数リリースしています。創設から13年が経過した1996年には、当時クラシック音楽界の大手レーベルであったフィリップス（現在は存在しない）と専属契約を結び、注目を集めました。現在（2023年）は、音楽監督のイヴァン・フィッシャーと共に、オランダのレーベルであるチャンネル・クラシックスから精力的に録音をリリースし続けており、その活動は世界中の音楽愛好家から注目されています。

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