ブナイ・ブリス

ブナイ・ブリス：世界最古のユダヤ人相互扶助組織

ブナイ・ブリス（B'nai B'rith）は、1843年10月13日、ニューヨークで創設されたユダヤ人コミュニティーの相互扶助組織です。現在も活動している世界最古のユダヤ人互助組織として知られています。当初は「Bundes Bruder」（同信の友）という名称でしたが、すぐにヘブライ語の「B'nai Brith」（契約の息子）に改称されました。

多岐にわたる活動

ブナイ・ブリスは、多様な活動を通してユダヤ人コミュニティの支援と社会貢献に尽力しています。主な活動内容としては、人権向上活動、医療・災害支援、奨学金提供などが挙げられます。特に、名誉毀損防止同盟（ADL）を通じた人種差別やヘイトクライム、反ユダヤ主義への反対運動は、組織の重要な活動柱となっています。

また、ブナイ・ブリスはイスラエルを熱心に支持しており、イスラエル関連団体との連携や支援活動にも積極的に取り組んでいます。2002年には、アメリカ・イスラエル公共問題委員会（AIPAC）とともに「BBYO 4 Israel」という宣言を発表しました。さらに、2001年まではユダヤ人青年組織B'nai B'rith Youth Organization（BBYO）の後援も行っていました。BBYOは、アーレフ・ツァーディーク・アーレフ(AZA)やB'nai B'rith Girls(BBG)といった青年組織の母体組織として、ユダヤ人青年の育成に貢献してきました。

カナダ支部と政治的発言

1875年に設立されたブナイ・ブリス・カナダ支部は、カナダ最古のユダヤ人互助組織です。近年は、カナダ・ユダヤ人協会（CJC）と並ぶほどの影響力を持つようになり、CJCとは異なる保守的な主張を表明しています。特に、イスラエルへの支持においては、CJCよりもリクードに近い立場を取っており、両者の間には政治的な対立も見られます。2000年のカナダ連邦議会選挙では、CJC前会長が自由党から立候補した一方、ブナイ・ブリスの常務理事がカナダ同盟からの立候補を検討したことが、両者の対立を象徴的に示しています。

2004年には、ブナイ・ブリス国際関係研究所所長のマイケル・コリン・ショーの発言が物議を醸しました。ショーは、イスラエルのテロリズム支援を正当化すると発言し、ブナイ・ブリスは批判にさらされました。この出来事は、組織の政治的発言が社会的な波紋を広げる可能性を示す出来事となりました。

秘密結社に関する誤解

ブナイ・ブリスは、時に「ユダヤ人のみのフリーメイソン組織」「メーソンを支配する秘密結社」などといった陰謀論的な主張の対象となります。設立当初は、フリーメイソンを模倣した側面もありましたが、1920年の組織憲章で秘儀性を放棄し、現在はロータリークラブやライオンズクラブなどの親睦団体と積極的に交流するなど、透明性を重視した活動を行っています。

まとめ

ブナイ・ブリスは、世界最古にして最も影響力のあるユダヤ人相互扶助組織の一つです。多様な活動を通してユダヤ人コミュニティの発展に貢献する一方、政治的発言や歴史的背景から様々な議論の的にもなっており、その活動は複雑で多層的な側面を持っています。今後も、ユダヤ人社会と世界社会の双方において、その存在感はますます大きくなると予想されます。

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