ブライディ・マーフィー

ブライディ・マーフィーの物語

ブライディ・マーフィー（Bridey Murphy）とは、1952年にアメリカ合衆国コロラド州プエブロで実業家でアマチュア催眠術師のモーリー・バーンスタインが注目した架空の女性です。この女性は、彼が退行催眠を施した顧客であるヴァージニア・タイが、自身の過去生として語った19世紀のアイルランド出身の人物だとされています。

ヴァージニア・タイと催眠

退行催眠のセッション中、29歳のヴァージニアはアイルランド訛りの英語で自己紹介をし、自らをブライディ・マーフィーと名乗りました。催眠を繰り返すことで、彼女はこのブライディの過去について詳細に語り始めます。この話は19世紀のアイルランドの女性の生涯に基づいていました。

ブライディ・マーフィーの生涯

彼女の生涯についての詳細な情報は、以下のような内容です。

• - 生誕: 1798年12月20日、コークに生まれました。
• - 外見: 赤毛の持ち主であったとされています。
• - 家族構成: 父は法廷弁護士のダンカン・マーフィー、母はプロテスタントのキャスリーン・マーフィーでした。
• - 結婚と移住: 20歳のときに弁護士のショーン・ブライアン・ジョセフ・マッカーシーと結婚し、ベルファストに移住しました。
• - 宗教: 結婚式はプロテスタント式でしたが、その後カトリックの洗礼を受けました。
• - 死去: 1864年に66歳で亡くなり、自身の葬儀を見たとされています。

催眠中、ブライディはアイルランドの歌や物語についても語り、実践的な詳細や文化についての知識を披露しました。これらの話は、彼女のリスナーたちに強い印象を残しました。

反響と論争

この物語は1956年にバーンスタインによって書籍『The Search for Bridey Murphy』（邦題『第二の記憶：前世を語る女ブライディ・マーフィ』）として出版され、大成功を収めました。この本は大ベストセラーとなり、さらにテレサ・ライト主演の映画化もなされました。催眠セッションの録音も、多数の翻訳版が出版されるほど人気となりました。

しかし、ブライディ・マーフィーの存在については議論が巻き起こされました。調査の結果、ブライディに関連する地名や店舗は存在したものの、彼女や彼女を取り巻く人物は実在していないことがわかりました。ヴァージニア・タイは中西部出身でアイルランドには行ったことがないため、当時のアイルランドの文化や言語について理解があったとは言い難いのです。

さらに調査が進む中、シカゴに住んでいた幼少期の彼女の近所に、ブライディ・マーフィー・コーケルという名前のアイルランド系女性が存在していたことが判明しました。このことから、ブライディ・マーフィーの話は彼女の幼少期の記憶として再解釈されていきました。結果的に、ブライディ・マーフィーは彼女の創作した架空のキャラクターであると言われるようになったのです。

社会的影響

この事例をきっかけに、アメリカでは輪廻転生や前世の考え方に対する関心が高まることとなりました。催眠術や過去生療法についての研究も進み、多くの人々がこのテーマに魅了されるようになりました。ブライディ・マーフィーの物語は、ただのフィクションとしてだけでなく、人々の心理や信念に多大な影響を与えたのです。

もう一度検索