ブラウ作戦

ブラウ作戦の概要

ブラウ作戦（Unternehmen Blau、英：Case Blue）は、第二次世界大戦中の1942年夏において、ナチス・ドイツ軍が実施した攻勢計画です。この作戦は、ロシア南部を対象に、ボルガ河の西岸に到達することとコーカサス地域を征服することを目指していました。作戦名「ブラウ」は、ドイツ語で青を意味し、他の作戦名と同様に色名を使う習慣が見られました。

背景と目的

1941年に行われたバルバロッサ作戦が挫折した結果、ドイツは長期的な戦争に突入しました。それに伴い、ヒトラーと参謀本部は、戦争経済や周辺国への影響を考え、1942年の夏季攻勢計画を練り上げました。その中で、特に注目されたのはソ連の石油供給がバクー油田に依存していることでした。この補給路を断つことで、ソ連の戦争能力を削ぐことが狙いとされました。

作戦計画

ブラウ作戦は2つの段階から構成されていました。第一段階では、ドン河の西岸に位置するソ連軍を撃破し、渡河点を確保することが目的でした。次の第二段階では、攻撃を二つの軸に分け、一方でスターリングラード周辺に向かい、ボルガ河の西岸に進出し、もう一方でコーカサスの南下を目指すというものでした。特に、バクー油田の占領を果たすことが重要視されていましたが、作戦の実行にあたり、ヒトラーが当初の原案を大幅に修正したことが影響を及ぼしました。

作戦開始と経過

作戦は1942年6月28日に始まり、ドイツ南方軍集団が攻勢を仕掛けました。ソ連軍はモスクワの防衛を優先していたため、ドン川近くへの増援が遅れ、ドイツ軍は比較的容易に進軍しました。ロストフが陥落し、ヒトラーは第一段階の成功を確認し、次の目標としてスターリングラードとバクーを設定しました。

A軍集団はコーカサスに進出し、大規模な油田施設を占領しましたが、ソ連軍によって破壊されていたため十分な石油を確保することはできませんでした。一方、B軍集団はスターリングラードに到達し、激しい市街戦が展開されました。物資不足や過酷な冬の条件が重なり、ドイツ軍の状況は厳しくなっていきました。

スターリングラードの包囲と降伏

スターリングラード防衛戦では、ドイツ軍の包囲網が完成し、ヒトラーの命令によって第6軍は死守を命じられました。しかし、ソ連軍が反撃に出た結果、第6軍は包囲され、最終的には降伏を余儀なくされます。降伏した約30万人のドイツ兵は捕虜となり、その後の移送や過酷な労働により、多くの者が命を失いました。

結果と影響

ブラウ作戦は、ヒトラーの強引な指導と誤った情報に基づいて進められたことが、作戦の失敗を招く要因となりました。また、ドイツ軍は人的被害が甚大であり、戦線の主導権をソ連軍に移譲する結果となりました。この作戦の失敗は、ドイツが戦争の流れを変えるための大きな転機となり、その後の戦局にも深い影響を与えました。さらに、ソ連軍は戦略的な撤退を行い、最終的には斯界における優位性を確立することにつながりました。

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