ブラックプール・トラム

ブラックプール・トラム: イギリスの伝統的な路面電車

ブラックプール・トラムは、イングランド北西部のブラックプールで運行されている路面電車です。このトラムはスターゲイト駅から北にあるフリートウッド・フェリー駅までを結び、17.7 kmの距離を代表する交通手段として利用されています。1885年9月29日に開業し、以来130年以上の長きにわたり市民と観光客に親しまれてきました。

歴史と運行の系譜

このトラムは、イギリス国内で最も古い運行記録を持つ路面電車として知られています。開業当初は暗渠集電方式を採用していましたが、海風による飛砂や塩水の影響が問題となり、すぐに通常の架線方式に切り替えられました。第二次世界大戦以前に製造された2階建ての車両は現在も現役で使用されており、イギリスにおいて1962年から1992年までの間、唯一の路面電車であり続けていました。

2011年から2012年にかけては大規模な近代化改修が行われ、新型のボンバルディア製低床車両が投入され、さらには停留場の改廃や架線電圧の昇圧が行われました。これにより、運行の安全性と快適性が向上し、利便性も高まりました。

車両について

現在、ブラックプール・トラムで運行されている車両は、ボンバルディア・トランスポーテーション製のフレキシティ2型（18両）と、イングリッシュ・エレクトリック製のバルーン型（9両）です。通常の運行はフレキシティ2に統一されていますが、突発的な事故や故障の際にはバルーンが代わりに使用されます。

運行の間隔は日中が10分、夜間が15分ごとで、基本的には全線を走破する設定ですが、夜間は一部の便が途中駅で折り返すこともあります。特に繁忙時には増発も行われ、需要に応じて柔軟に対応しています。また、土日や長期休暇には、保存車両を使った特別運転も催されており、歴史的な車両が街の風景を彩ります。

運賃体系

運賃は、乗車距離に応じて3段階に設定されており、初乗りは1.8ポンド、次が2.3ポンド、最後が2.8ポンドとなっています。5歳から15歳の子供には一律で1.2ポンドの料金が適用され、家族やグループの場合は割引もあります。乗車券は乗務員からその場で購入する他、公式アプリを介して予約も可能です。ただし、子供割引の適用が必要な場合は事前に営業所に申し出る必要があります。

延伸計画

現在、タルボット・スクエアからタルボット・ロードを経由してノーザン・レールのブラックプール北駅に至る新しい支線の建設が進行中です。この路線は2022年に運行が開始される予定です。さらに、かつてスターゲイトと接続していたリザム・セント・アンズへのトラム復活計画やポールトン・ル＝フィルドへの支線設置も検討されていますが、資金面での課題が残されています。

まとめ

ブラックプール・トラムは単なる交通手段にとどまらず、この地域の歴史や文化を体現する重要な存在です。市民の生活を支えるだけでなく、観光客にとっても魅力的なアトラクションとなっています。これからの近代化や新しい路線の発展が、さらなる地域の活性化に寄与することが期待されています。

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