ブラック・ショーマンと覚醒する女たち

ブラック・ショーマンと覚醒する女たち

東野圭吾による連作短編集『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』は、都会の片隅にあるバー「トラップハンド」を舞台に、マスターである神尾武史と、彼と出会う女性たちの物語が展開されるミステリー作品です。前作『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』に続くシリーズ第2作として、光文社から刊行されました。

あらすじ

物語は、恵比寿にひっそりと佇むバー「トラップハンド」を中心に展開されます。マスターの神尾武史は、元マジシャンという異色の経歴を持ち、その手腕で様々な悩みを抱える女性たちを導いていきます。

収録されているのは、読者プレゼント企画で書かれた1編と、アンソロジー文庫に掲載された3編、そして書き下ろしの2編を加えた計6編。

各エピソードでは、

婚活に奔走する女性と、彼女の経済力を査定するバーテンダー
リノベーションを依頼した未亡人と、失踪した兄との再会
過去の不倫から立ち直れない女性と、彼女が知らなかった恋人の姿
遺産相続をめぐる騒動と、それを解決しようとするマジシャン
自殺した娘の生存を信じる母親と、その真相を追う人々
資産家との結婚を夢見る女性と、彼女に近づく謎の男

といった、様々な人間模様が描かれます。

登場人物

神尾 武史（かみお たけし）

恵比寿のバー「トラップハンド」のマスター。元マジシャンで、冷静沈着な性格。女性たちの相談に乗り、時にマジックのような手腕で解決へと導きます。

神尾 真世（かみお まよ）

武史の姪で、都内の不動産会社で建築士として働いています。リフォームの仕事を通じて様々な人々と出会い、武史に相談を持ちかけます。

陣内 美菜（じんない みな）

高級イタリア家具メーカーの販売員。結婚相手に資産家を求める野心的な女性で、「トラップハンド」で武史に男性の品定めを依頼します。

上松 和美（うえまつ かずみ）

資産家の遺産を相続した未亡人。マンションのリノベーションを真世に依頼しますが、失踪していた兄が現れ、事態は思わぬ方向へ。

火野 柚希（ひの ゆずき）

アパレルショップ店員。過去の不倫相手の死から立ち直れずにいたが、「トラップハンド」での出会いをきっかけに、新たな一歩を踏み出そうとします。

富永 良和・朝子夫妻

青山のマンションリフォームを真世に依頼した老夫婦。亡くなった息子の遺産相続をめぐり、予期せぬ問題に直面します。

末永 久子（すえなが ひさこ）

介助付き老人ホームの入居者。自殺した娘の生存を信じ、真相を突き止めようとします。

特徴

本作は、前作に引き続き、神尾武史のキャラクターが魅力的に描かれています。冷静で頭脳明晰でありながら、どこかユーモラスな一面も持ち合わせており、読者を引き込みます。

また、各エピソードに登場する女性たちは、現代社会で生きる女性の様々な側面を映し出しており、共感を覚える人も多いでしょう。

ミステリーとしての面白さはもちろん、人間ドラマとしても楽しめる作品です。

まとめ

『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』は、東野圭吾ならではの巧妙なトリックと、魅力的なキャラクターたちが織りなすミステリー短編集です。都会のバーを舞台に、繰り広げられる人間模様をぜひお楽しみください。

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