ブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア/ヒストリー・イン・ザ・ミックス

概要

『ブラッド・オン・ザ・ダンス・フロア：ヒストリー・イン・ザ・ミックス』は、1997年5月14日にリリースされたマイケル・ジャクソンのリミックスアルバムです。このアルバムはマイケルの音楽の中でも特殊な位置を占めており、事前のプロモーションがほとんどなかったにもかかわらず、全世界で600万枚以上を販売し、史上最も売れたリミックス盤としての記録を持っています。

アルバムは二部構成になっており、前半には『デンジャラス』以降に制作された完全未発表の新曲が5曲収録されています。後半は、前作『ヒストリー パスト、プレズント・アンド・フューチャー ブック1』に収録された曲のリミックス版が8曲収められており、うち6曲は未発表です。このような独特な構成は、ファンにとって驚きと興味を引き起こしました。

特筆すべきは、このアルバムが特に告知もなくリリースされた点です。これにより、彼のファンや音楽業界は大きな驚きを感じたことでしょう。また、ジャクソン自身の意向も影響し、表題曲を除く新曲の歌詞は日本語版にも記載されていないという、謎めいた構造となっています。加えて、US版のCDには「over 76 minutes」と表示されているにもかかわらず、実際にはわずか75分57秒程度しか収録されておらず、まさに「謎のアルバム」と言えます。

このアルバムには、ホラー的な要素や社会への批判、薬物やセックスへの依存といったテーマが歌われており、マイケルの作品の中でも特に暗い雰囲気を持っています。その中でも新曲は、他のファンが知っている彼のイメージと異なる内容で構成されています。

パッケージには、ダンスフロアでポーズを決めるマイケルの写実画が使われており、視覚的にも印象的な作品として仕上げられています。

解説

アルバムの冒頭を飾る表題曲は、エルトン・ジョンに捧げたもので、CDシングルにはマイケルからの感謝のメッセージが記されています。エルトンとの関係は、エイズの少年ライアン・ホワイトとの協力を通じて築かれたもので、今回の楽曲にもその影響が見受けられます。

2曲目の「モーフィン」は、マイケル自身の急死に関連する薬物依存について歌われていると言われています。この歌は彼の内面的な葛藤を反映したものとも解釈され、聴く人に深い印象を与えます。

3曲目「スーパーフライ・シスター」の“Sister”は、姉であるラトーヤ・ジャクソンを指しているとも考えられており、その内容は異様に性的だと批評されています。

4曲目の「ゴースト」は、前年に公開された同名の短編映画で初めて披露され、その映画を通じてマイケルの独特な表現力を感じることができます。

さらに、妹のジャネット・ジャクソンとのデュエット曲「Scream Louder (Flyte Tyme Remix)」では、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの楽曲をサンプリングしており、音楽的なつながりが見受けられます。ジャネット自身も過去に同楽曲をサンプリングしており、これは兄妹に共通するスタイルとも言えます。

収録曲一覧

• - Blood On The Dance Floor
• - Morphine
• - Superfly Sister
• - Ghost
• - Is It Scary
• - Scream Louder (Flyte Tyme Remix)

このアルバムは、マイケル・ジャクソンの音楽キャリアの中で特異な存在感を持っており、彼の作品の中でも特に多くの議論を呼んでいます。音楽だけでなく、アイデンティティや社会問題に対する彼の視点が詰まったこのリミックス盤は、音楽ファンにとっては必聴の一枚となっています。

もう一度検索