ブリッドポート子爵
ブリッドポート
子爵(Viscount Bridport)は、イギリスの
貴族爵位であり、フッド家に対してこれまでに二度創設されています。本記事では、この爵位の歴史と、それに関連するブロンテ公爵について解説します。
歴史
フッド提督に対する叙爵
初代ブリッドポート
子爵となったのは、アレグザンダー・フッド提督(1726-1814)です。彼は、同じく提督であったサミュエル・フッドの実弟であり、
七年戦争や
フランス革命戦争で活躍しました。
フッドは、その功績により、
1794年に
アイルランド貴族として「クリケット・セント・トマスのブリッドポート男爵」に叙されました。さらに、グロワ島の海戦での指揮を経て、
1796年には
グレートブリテン貴族として「サマセット州クリケット・セント・トマスのブリッドポート男爵」を授けられます。そして
1800年、海軍を引退したフッドは、
グレートブリテン貴族の「サマセット州クリケット・セント・トマスのブリッドポート
子爵」に叙せられました。
これらの爵位のうち、
1794年創設の男爵位には、又甥のサミュエル・フッドとその叔父アレグザンダー・フッドにも相続を認める特別継承権が付与されていました。そのため、初代
子爵の死後、
子爵位と
1796年創設の男爵位は廃絶しましたが、
1794年創設の男爵位のみは又甥サミュエル(2代男爵、1788-1868)に継承されました。
子爵位の復権と公爵位継承
2代男爵サミュエルの子、アレグザンダー(3代男爵、1814-1904)は、ヴィクトリア女王とエドワード7世の侍従を務めた廷臣でした。彼は、襲爵から5か月後の
1868年7月6日に、「ブロンテ及びサマセット州クリケット・セント・トマスのブリッドポート
子爵」に昇叙され、
子爵位を復権させました。彼が、現在まで続くブリッドポート
子爵家の直接の祖となります。
さらに、アレグザンダーは
1873年に、母からホレーショ・ネルソン提督を始祖とする
両シチリア王国貴族爵位「ブロンテ公爵」を継承しました。これ以降、爵位は初代
子爵の直系男子によって継承されています。
初代
子爵の死後、長男アーサーが
子爵位を継承しましたが、ブロンテ公爵位はヤンガーソンの一人であるアレグザンダー(5代公、1854-1937)が継承しました。これは、ブロンテ公爵位には特別継承が認められており、「爵位保持者は任意の次期譲受人を定めることができる」と定められていたためです。
2代
子爵アーサー(1839-1924)には、長男モーリス(1881-1915)がいましたが、第一次世界大戦(
ガリポリの戦い)で戦死したため、孫のロウランドが爵位を継承しました。
3代
子爵ロウランド(1911-1969)は、5代公アレグザンダーの死去後にブロンテ公爵を継承し、公爵位は再び
子爵家当主が帯びることとなりました。
その息子であるアレグザンダー(4代
子爵、1948-)が、現在の
子爵家当主です。
現当主の保有爵位
現在、第4代ブリッドポート
子爵であるアレクサンダー・ネルソン・フッドは、以下の爵位を保有しています。
第4代ブロンテ及びサマセット州クリケット・セント・トマスのブリッドポート
子爵 (
1868年)
第6代クリケット・セント・トマスのブリッドポート男爵 (
1794年)
第7代ブロンテ公爵 (
1799年)
一覧
ブリッドポート男爵(1794年)
初代:アレグザンダー・フッド (1726–1814) -
1800年にブリッドポート
子爵に叙爵
2代:サミュエル・フッド (1788–1868)
3代:アレグザンダー・ネルソン・フッド (1814–1904) -
1868年にブリッドポート
子爵に叙爵
初代:アレグザンダー・フッド (1726-1814) - 1814年に
子爵位廃絶
初代:アレグザンダー・ネルソン・フッド (1814–1904) -
1873年にブロンテ公爵を継承
2代:アーサー・ウェリントン・アレグザンダー・ネルソン・フッド (1839–1924)
3代:ロウランド・アーサー・ハーバート・ネルソン・フッド (1911–1969)
4代:アレグザンダー・ネルソン・フッド (1948-)
爵位の法定
推定相続人は、現当主の息子であるペレグリン・アレグザンダー・ネルソン・フッド閣下(1974-)。
法定
推定相続人の
推定相続人は、その異母弟アンソニー・ネルソン・フッド閣下(1983-)。
初代:ホレーショ・ネルソン (1758–1805)
2代:ウィリアム・ネルソン (1757–1835)
3代:シャーロット・メアリー・フッド (1787–1873)
4代:アレグザンダー・ネルソン・フッド (1814–1904)
5代:アレグザンダー・ネルソン・フッド (1854–1937)
6代:ロウランド・アーサー・ハーバート・ネルソン・フッド (1911–1969)
7代:アレグザンダー・ネルソン・フッド (1948-)
爵位の法定
推定相続人は、現当主の息子であるペレグリン・アレグザンダー・ネルソン・フッド閣下(1974-)。
法定
推定相続人の
推定相続人は、その長女であるアナ・リンダ・ネルソン・フッド(2016-)。
関連項目
ネルソン伯爵
フッド子爵