ブリトニー・グライナー

ブリトニー・グライナー：波乱万丈なキャリアと逮捕劇

ブリトニー・グライナー（Brittney Yevette Griner）は、1990年10月18日生まれのアメリカ合衆国の女子プロバスケットボール選手です。ポジションはセンターで、WNBAのフェニックス・マーキュリーに所属しています。身長206cmという恵まれた体格から、国際大会に出場する女子バスケットボール選手としては、マウゴジャータ・ディデック、ハイジ・ジリンガムに次ぐ長身を誇ります。

大学時代とWNBAでの活躍

ベイラー大学でプレーしたグライナーは、NCAAで2000得点と500ブロックショットを達成した唯一の選手です。2013年のWNBAドラフトでは、フェニックス・マーキュリーから全体1位指名を受け、プロのキャリアをスタートさせました。デビュー戦ではダンクショットを2度記録し、その実力を見せつけました。また、同年にはNBAのダラス・マーベリックスからトライアウト参加を打診されたことも報道されました。

2014年には、平均15.6得点、8.0リバウンド、3.7ブロックショットを記録し、6月29日のタルサ・ショック戦ではWNBAプレーオフ記録となる11ブロックをマークしました。チームも3度目のWNBA制覇を果たし、グライナーの存在感はますます大きくなりました。

アメリカ合衆国代表としての活躍

グライナーは、アメリカ合衆国代表としても輝かしい成績を残しています。2012年のロンドンオリンピックの代表候補に選出されましたが、家族の病気と学業との兼ね合いから辞退しました。その後、2014年女子バスケットボール世界選手権、リオデジャネイロオリンピック、東京オリンピックで金メダルを獲得し、アメリカ代表の勝利に大きく貢献しました。

国外リーグでのプレー

WNBAのオフシーズンには、国外リーグでもプレーしています。2013-14シーズンは中国リーグの浙江稠州銀行金牛籃球倶楽部、2014-15シーズンと2015-16シーズンはロシアリーグのUMMCエカテリンブルクでプレーし、2016-17シーズンも再契約しました。

私生活と結婚、そして離婚

グライナーの私生活は、決して平穏なものではありませんでした。2014年8月には、同じWNBAプレイヤーのグローリー・ジョンソンと同性婚を発表しましたが、2015年4月には、自宅での喧嘩で2人とも逮捕されるという事件が起きました。その後、結婚するもすぐに離婚。2018年8月には、シェレル・ワトソンと婚約し、2019年6月に結婚しました。

2022年、ロシアでの逮捕

2022年2月17日、グライナーはロシアにて薬物所持容疑で逮捕されました。ロシア連邦保安庁は、グライナーがロシアでは違法のハッシュ・オイルを含む吸入カートリッジを所持していたと発表しました。逮捕後、ロシアはウクライナに侵攻し、アメリカ当局はグライナーが政治的な人質にされることを懸念しました。

グライナーの拘束期間は延長され、7月1日には初公判が行われました。モスクワ近郊の裁判前拘置所に送られたグライナーは、最長10年の懲役刑を命じられる可能性がありました。8月4日、裁判所はグライナーに対し、禁錮9年と罰金100万ルーブルの有罪判決を言い渡しました。

しかし、12月8日、アラブ首長国連邦の空港で、武器密輸に関与した罪で米国で収監中だったロシアの武器商人ビクトル・ボウトとの身柄交換により、釈放されました。

ブリトニー・グライナーのキャリアは、その才能と実績、そして私生活における苦難と逮捕劇によって、多くの人々に記憶されることでしょう。

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