ブリンクス (映画)

映画『ブリンクス』の概要

『ブリンクス』（原題：The Brink's Job）は、1978年に公開されたアメリカのコメディ映画です。この映画は、1950年にボストンで実際に起こった、アメリカで最も厳重な警備が設けられていたブリンクス金融警備会社からの現金強奪事件を題材にしています。ウィリアム・フリードキンが監督を務め、コメディタッチで描かれたストーリーは、観客に笑いと緊張感を同時に提供します。

あらすじ

物語は1938年のボストンから始まります。主人公のトニー・ピノは、無邪気でお調子者の義弟・ヴィニー、親友のサンディとガスと共に、工場からの現金強奪を日常的に画策しています。ある晩、彼らはソーセージ工場に忍び込みますが、残念ながら警察に捕まってしまいます。

第二次世界大戦が終わる頃、トニーは出所し妻メアリーの元に帰りますが、経営する食堂が経済的に危機に瀕していることを知ります。金が必要なトニーは、再び現金強奪を計画し始めます。ある日、トニーはブリンクス社の集金所を見つけ、そこで搬入される現金袋を確認しますが、ブリンクス社はそのセキュリティが非常に甘いことを知ります。

興味を持ったトニーは、スパークプラグのセールスマンに変装して、ブリンクス社の本社に潜入します。彼の予想に反して、内部は雑然としてお金が「ゴミのように」扱われていました。驚くべきことに、ブリンクス社の警報装置はわずか10セントのもので、実質的なセキュリティが機能していないことが判明します。

強盗計画の開始

トニーは、仲間と共にブリンクスを狙う計画を立て始めます。ジャズ・マフィーのような風変わりなキャラクターや、退役軍人のスペッキー・オキーフなど、様々なバックグラウンドを持つ人物が彼のチームに加わります。特にスペッキーは精神的に不安定なところがあり、トニーとヴィニーは彼を気にかけます。

1950年1月17日、ついに強盗の実行の日が来ます。この日は伝説的な事件となり、120万ドル以上の現金と150万ドル相当の有価証券や小切手を盗み出してしまいます。ブリンクス社はその堅牢なイメージが崩れ、「世紀の犯罪」としてマスメディアに取り上げられます。事件を受けて、FBI長官J.エドガー・フーバーも捜査に乗り出し、臨時の事務所を開設します。

失敗と逮捕

強盗団のメンバーは次々と逮捕されていきます。トニーの家には捜査官が訪れ、メアリーは彼らに夕食を振舞うほどに仲が良くなっています。しかし、仲間内の不和が表面化し、マクギニスが盗んだお金を放棄してしまう事件が発生し、絆が揺らいでいきます。スペッキーも徐々に追いつめられ、最終的に自白してしまいます。

トニーとヴィニーはとうとう逮捕され、ボストンの刑務所に収監されますが、街の人々には英雄視されるのです。あるティーンエイジャーはトニーを見て、「あなたは史上最高の泥棒です！」と称賛します。この映画は、深刻なテーマを抱えつつも、コメディの要素で観客を楽しませ、また、アメリカの犯罪文化に対する風刺も兼ね備えています。

まとめ

『ブリンクス』は、実際の事件からインスパイアを受けたフィクションであり、行動とその結果をユーモラスに描くことで、観客にさまざまな感情をもたらす作品となっています。年を経ても色褪せない魅力があり、必見の映画です。

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