ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団

ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団

ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団（英: Brno Philharmonic、チェコ語: Filharmonie Brno または Státní filharmonie Brno）は、チェコ共和国南東部、同国第2の都市であるブルノに活動拠点を持つ、著名なオーケストラです。ブルノは偉大な作曲家レオシュ・ヤナーチェクが長く活動したゆかりの地であり、その音楽遺産を尊重し、継承するこのオーケストラは、特にヤナーチェク作品の解釈と演奏において国際的に高い評価を得ています。

沿革

オーケストラの歴史的な起源は、20世紀初頭にまで遡ることができます。現在のブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団の前身の一つとされるのは、指揮者フランティシェク・ノイマンが監督を務めていたブルノ歌劇場のオーケストラです。この歌劇場オーケストラの流れを引き継ぐ形で、1940年にはブルノ放送交響楽団が設立され、活動を開始しました。その後、第二次世界大戦後の復興期を経て、1956年にブルノ放送交響楽団と、当時存在したブルノ管区所属のもう一つの交響楽団が統合・再編され、ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団として正式に発足しました。この新生オーケストラの初代首席指揮者には、チェコの著名な指揮者であるブジェティスラフ・バカラが迎えられました。

オーケストラはその歩みの中で、数多くの国際的な交流も行っています。特筆すべきは、1961年に日本の東京交響楽団との間で行われたコンサートマスターの交換プログラムです。この交流により、日本人ヴァイオリニストの小林武史氏がブルノに派遣され、3年間にわたりブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めました。これは当時の東西冷戦下における貴重な文化交流の一例として記録されています。

近年では、アメリカ合衆国出身の指揮者デニス・ラッセル・デイヴィスとの関係が深まっています。彼は2017年5月に初めて同オーケストラを指揮し、その共演の成功が大きな契機となりました。翌2018年のシーズンからは、デニス・ラッセル・デイヴィスが首席指揮者に正式に就任し、現在に至るまでオーケストラの音楽的方向性を牽引しています。

歴代首席指揮者

ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団を率いてきた歴代の首席指揮者たちは以下の通りです。

ブジェティスラフ・バカラ (1956年-1958年)
ヤロスラフ・フォーゲル (1959年-1962年)
イルジー・ヴァルトハンス (1962年-1978年)
フランティシェク・イーレク (1978年-1983年)
ペトル・ヴロンスキー (1983年-1991年)
レオシュ・スワロフスキー (1991年-1995年)
オタカル・トルフリーク (1995年-1997年)
アルド・チェッカート (1997年-2000年)
ペトル・アルトリフテル (2002年-2009年)
アレクサンダル・マルコヴィッチ (2009年-2015年)
デニス・ラッセル・デイヴィス (2018年- )

桂冠指揮者

また、オーケストラに顕著な功績を残した指揮者に対しては、桂冠指揮者の称号が贈られています。これまでの桂冠指揮者は以下の通りです。

チャールズ・マッケラス (2007年 - )
* カスパー・リヒター (2002年 - )

ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団は、ヤナーチェクをはじめとするチェコ音楽はもちろんのこと、幅広い時代や地域の作品を取り上げ、多様なレパートリーでの演奏活動を展開しています。本拠地ブルノでの定期公演に加え、国内外へのツアーも積極的に行い、チェコの豊かな音楽文化を世界に発信し続けている、重要な存在です。

（本記事は信頼できる文献や公式情報に基づき記述されています。）

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