ブルーノ (アーサー王物語)

ブルーノ卿（Sir Breunor）の物語

ブルーノ卿、またの名をブルーノ・ル・ノワール（Breunor le noir）は、中世アーサー王物語において注目すべき円卓の騎士です。彼は「ラ・コート・マル・タイユ」（だぶだぶのコート）としても知られており、その特徴的なコートが彼を有名にしています。このコートは父の遺品であり、彼は仇を討つまでこれを着続けるという誓いを立てています。

物語の背景

ブルーノ卿は、『散文のトリスタン』や『アーサー王の死』などの作品に断片的に描かれています。彼の物語は「フェア・アンノウンの物語」としての側面も持ち、特に美しい手を持つガレス卿との物語には多くの共通点があります。彼の初登場は『アーサー王の死』において、体に合わないコートを着た姿でアーサー王の宮廷に現れるところから始まります。この姿を見たケイ卿はさっそく彼に「ラ・コート・マル・タイユ」というあだ名を付けることになります。

黒い盾の冒険

ある日、アーサー王の宮廷にマラディザンドという乙女が現れ、「黒い楯の冒険」に挑戦する騎士を求めました。自ら名乗り出たラ・コート・マル・タイユですが、乙女はその名を聞いて不満を持ち、彼を口汚く罵倒しました。それでも、ラ・コート・マル・タイユは乙女とともに冒険に出発します。

旅の途中、いくつかの騎士と決闘を繰り広げますが、残念なことに彼は道化のダゴネット卿以外の騎士に勝つことができず、周囲からは「道化役以外には勝てないのか」と非難を浴びます。しかし、彼は決して弱いわけではありませんでした。

実際、彼は馬術において未熟で、落馬を繰り返しましたが、徒歩での戦闘においては力を発揮し、何度も敵騎士を打ち負かします。同行していたモードレッド卿は、彼の成長を支援しつつ、「馬術は容易に身につくものではなく、ランスロット卿も若い頃は同じように苦労していた」とマラディザンドに説明しました。

須く知られる名誉の回復

その後、旅路にランスロット卿も合流しますが、残念ながらラ・コート・マル・タイユは六対一の戦いに敗れて捕らえられます。最終的にはランスロット卿の力を借りて、彼とマラディザンドは解放されます。この冒険を終えた彼はアーサー王の宮廷に帰還し、円卓の騎士に叙任されます。さらに、ランスロット卿からペンドラゴン城の主に任命され、マラディザンドと結婚することになります。

興味深いことに、マラディザンドがブルーノ卿に対して非難の言葉を投げかけていたのは、彼の命を守るためであることが明らかになります。ランスロット卿は彼女の名前を「ビアンペサント」（よく考える者）に改名しました。

その後の展開

マロリー版の物語によれば、ラ・コート・マル・タイユは無事に父の仇を討ったとされていますが、その詳細については語られておらず、彼の成長と戦いを経た後の姿を想像するのみです。

以上が、ブルーノ卿の物語の概要です。彼の冒険と騎士としての成長は、アーサー王物語の中で特に印象的なエピソードの一つとなっています。

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